ランチェスター戦略とは・・・代表的なビジネス戦略理論の1つで、企業間の販売競争で、シェアを取るために体系立てられた理論のことです。
戦後、日本でも多くの企業がこの「ランチェスター戦略」を取り入れ、経営コンサルタントやマーケッターも影響を受けていることから「販売戦略のバイブル」ともいわれます。
今回の記事では、この「ランチェスター戦略」のルーツ(歴史)や、理論について。
また、ランチェスターを取り入れた経営やコンサルティングで有名な竹田陽一氏(ランチェスター経営株式会社:CEO)の本についても、紹介していきます。
以下、目次になります。
- ランチェスター戦略(法則)のルーツについて
- ランチェスター戦略の理論(法則)について
- 経営コンサルタントである竹田陽一氏(ランチェスター経営株式会社:CEO)の本紹介
ランチェスター戦略(法則)のルーツについて
ランチェスター戦略は、もともとはビジネス戦略ではありません。
なんと、もともとは「戦争」においての軍事戦略理論であり、いかに相手陣から、効率よく陣地を奪うかを体系立てたモノとなります。
この理論を考えだしたのは、名前にもある通り「F・W・ランチェスター」で、はじめて「戦争」を定量的、統計的、数学的に取り扱った人物とされています。
第一次世界大戦の時に、彼によって、この理論は確立され、第二次世界大戦の時には、アメリカ軍によって、ランチェスターの法則に従った戦略が立てられています(下記)
これが、後に産業界へも発展する「ランチェスター戦略」の基本となります。
こうして、もともとは「戦争」においての軍事戦略理論だったのが、企業間の販売競争戦略として理論が体系だてられたのが、1970年代頃になります。
それからは、多くの企業に取り入れられ、多くの経営コンサルタントやマーケッターに影響を与えてきました。
次の章では、そんな「ランチェスター戦略」の理論について、解説していきます。
ランチェスター戦略の理論(法則)について
まずは、ランチェスター戦略の基本概念を理解しておきましょう。
それは、企業がとる販売戦略として、「弱者」か「強者」かによって変わる。ということです。
ここでいう「強者」とは、市場シェアが1位の企業で、それ以外(2位以下)の企業は「弱者」に定義されます。
このように2つに分類する理由は、弱者と強者という二つの立場では、有効な戦い方がまったく異なるからです。
また、一点注意してほしいのが、ここでいう「市場」というのは、地域や流通形態、ターゲット属性、商品によって変わる。ということです。
なので、例えば、全国でシェア1位であっても、埼玉県ではシェア5位だった場合、埼玉県では、「弱者」として扱われます。
このように、細分化された市場ごとでのシェア順位なので、企業規模が大きいからといって「強者」になるわけではないのです。
では、具体的にそれぞれの戦略理論を説明していきましょう。
ランチェスターの法則:「弱者」がとるべき戦略理論について
「弱者」がとるべき基本戦略は、一言で言うと「差別化戦略」です。
以下、5つの側面で、「弱者」がとるべき販売戦略をまとめました。
- 【商品】:一点に集中する
- 【地域】:局地設定
- 【流通】:テレアポや、訪問営業など、顧客とより密接な販売形態にする
- 【ターゲット顧客】:ターゲットとなる顧客属性を絞る
上記のように、「弱者」は、事業領域を細分化し、勝ち易い「地域・流通・ターゲット顧客・商品」を設定し、そこに経営資源を重点的に投入します。
これが、「弱者」がとるべき戦略理論になります。
ランチェスターの法則:「強者」がとるべき戦略理論について
「強者」は、逆者とは逆に「質より量」で攻めていき、「弱者」がとる差別化要素をなくすことに重点が置かれます。
要は、「弱者」がとった戦略を真似ることで、差別化要素をなくし、単純に「リソース(人や金)」での勝負に持ち込めるといったものです。
以下が、強者がとるべき戦略になります。
- 【商品】:多数の商品を揃える
- 【地域】:広い範囲を対象とする
- 【流通】:TVCMや、新聞・雑誌広告など、多数の消費者を一度に囲い込む
- 【ターゲット顧客】:ターゲットとなる顧客属性を広く設定する
以上、「弱者」と「強者」それぞれの販売戦略理論でした。
また、以下は、両者それぞれに共通した、戦略を立てるときのポイントになります。
- 既に市場が成熟している場合、シェアを伸ばすには、競合他社のシェアを奪うしかありません。この時、相手として設定すべきなのは、1ランク下の他社です。なぜなら、自社より強い敵との全面対決では、体力に劣る自社が不利だからです。なので、シェアを奪う場合は、勝ち易い敵を選定します。
- 上述しているとおり、地域や商品・ターゲット顧客ごとで、シェアの順位は変わっていきます。会社の規模が大きいからといって「強者」になるわけではないのです。なので、重要なのは、会社単位ではなく、事業所ごとに戦略を最適化することです。要は、同じ会社・同じ商品でも、地域ごとに販売戦略を変えていくということです。
参考にしたページ:戦国マーケティング株式会社:競争戦略のバイブル「ランチェスター戦略」とは
経営コンサルタントである竹田陽一氏(ランチェスター経営株式会社:CEO)の本紹介
竹田陽一氏とは・・・ランチェスター戦略を用いた経営理論の世界では、非常に有名な方で、自身も「ランチェスター経営株式会社」を創業しています。
当章では、より「ランチェスター戦略」を経営に紐づけて深く学びたいという方を対象に、竹田陽一氏が執筆した本を紹介します。
- 【小さな会社「儲けのルール」:ランチェスター経営 7つの成功戦略】
- 【ランチェスター弱者必勝の戦略:「強者に勝つ15の原則」】
- 【小さな会社:「社長のルール」】
以上です。
経営者の方やビジネスに興味のある方は、ぜひ読んでみることをオススメします。
まとめ
ランチェスター戦略(法則)では、市場シェアを獲得するための基本概念である「ナンバーワン主義」と「一点集中主義」といったモノがあります。
これは、一度ターゲット層や地域、商品を確定したら、そこに対しての販売を徹底的に集中する。ということです。
戦略性のない企業に限って、この「集中」がおこなえず、儲かりそうな市場を見つけては、つまみ食いしようとして時間を無駄にします。
これでは、時間や金・人といった経営資源も、無駄に浪費しているということになります。
どんな小さい市場であっても、ナンバーワンの地位を確保するまでは、自らの経営資源を集中し続けなければならないのです。
スポーツシューズメーカーで有名な「アシックス」も、最初は「バスケットシューズ」に限定して、製造販売し、その分野で40%以上ものシェアを確保してから、次の商品へ進出しています。
このように、いくら小さい市場でも、ナンバーワンの地位を築くことで、次の「道」が見えるのです。
F・W・ランチェスター自身も、下記のように言っています。
「陸軍であれ海軍であれ、その主力戦力を作戦場面のなかの一点に集中するというノウハウが、すべての戦略の中心に置かれなければならない」
以上です。