ニーズ・シーズ・ウォンツとは、「マーケティング」の分野で頻出する言葉で、企業が消費者に商品(サービス)を販売する際、非常に重要となる考え方(概念)となります。
マーケティングに少しでも関係のある人なら、知っていて当然の「フィリップ・コトラー」は、下記のように「マーケティング」を定義しています。
上記からも、マーケティングにおいて、いかに「ニーズ・シーズ・ウォンツ」が重要な意味を持っているかが分かります。
ただ、「ニーズとウォンツの違い」や「シーズ」について、明確に理解している人は、少ないように思います。
おそらく、この記事を見ているあなたも、その一人でしょう。
そこで、今回の記事では、それぞれの意味と違いについて。
また、消費者(顧客)の顕在的なニーズと、潜在的なニーズの違いについても、順に解説していきます。
以下、目次になります。
- ニーズ・シーズ・ウォンツ。それぞれの意味と違いについて
- マーケティングリサーチ(調査)に必須!顧客の顕在的・潜在的ニーズの特定について
ニーズ・シーズ・ウォンツ。それぞれの意味と違いについて
当章では、以下順に沿って、それぞの意味や違いについて、解説していきます。
- ニーズ
- シーズ
- ウォンツ
ニーズの意味とは
ニーズとは・・・商品(サービス)に対して、消費者の求めている必要性の事を意味します。
また、商品(サービス)を販売していくうえで、消費者の求める商品の機能を追及したり、消費者の抱えている問題を解決するような商品やサービスを生み出していく事を「ニーズ志向」といいます。
人は、喉がかわいたら、お茶や水、ジュースを飲みたくなりますし、お腹が空いたら、お肉や魚、米が食べたくなります。
また、歌いたくなったらカラオケに行きますし、本がほしくなったら「本屋さん」に行きますよね。
このように、人が何かしらの商品を購買する際は、必ず「必要性」が存在します。
この必要性が、「ニーズ」なわけですね。
シーズの意味とは
シーズとは・・・商品(サービス)の提供側で持っている技術力や企画力(アイデア)、特別な素材や材料などを意味します。
「ニーズ」が、消費者視点で、消費者の必要性に沿って商品(サービス)が提供されるのに対し、「シーズ」は、生産者視点で、独自の技術力や企画力を重視して、商品(サービス)提供する。といった特徴があります。
これを「シーズ志向」と呼びます。
例えば、「世界初」のもので、類似商品がなく革新的な商品は、「シーズ志向」の商品と呼べます。
ただ既に、市場に対して類似商品があり、供給が満たされている状態であれば、「シーズ志向」は向きません。
このように満たされている市場であれば、ニーズ志向(消費者志向)で「マーケティング戦略」を考えるのが、通説となっています。
ウォンツの意味とは
ウォンツとは・・・「ニーズ」よりも、もっと踏み込んだ、商品に対しての欲求になります。
例えば、人は、喉がかわいたら、お茶や水、ジュースを飲みたくなります。この段階では、まだ「ニーズ」の段階です。
ここから、「スポーツドリンクのポカリスエット」が欲しいといったように、具体的な商品に対しての欲求が生まれる段階が、「ウォンツ」となります。
なので、言い換えれば、「必要性(ニーズ)」を満たす様々な商品から、他社を圧倒して選ばれる商品。その選ばれた理由が「ウォンツ」になります。
また、「ウォンツ」というのは、消費者自身が、その欲求に気づいていない「潜在的」な欲求であることがほとんどです。
例えば、(グッチやヴィトンなどの)ブランド品が、「ウォンツ」を満たしている良い例でしょう。
単に「必要性(ニーズ)」を満たすだけであれば、単なる「カバン」でいいわけです。
それこそ、安いカバンでも、十分に「ニーズ」は満たせるわけです。
それなのに、わざわざ高い「ヴィトンのバッグ」を買うのは、カバンとしての機能以外にも、「欲しい!」と思える要素があるわけですよね。
これが、「ウォンツ」なわけです。
ちなみに、ブランド品を買う理由としては、「高級感があるものとして見られる」や「ステータス(社会的地位)がある」といった理由で選ばれています。
なので、商品(サービス)を販売する側は、いかに消費者の「ウォンツ(欲求心理)」を刺激し、他社と差別化するかが、重要になるのです。
消費者の「ウォンツ(欲求心理)」に的確に訴求できれば、それだけで、他社との差別化になるわけです。
そのためには、消費者が「ウォンツ(欲求心理)」の状態になるさいの、心理プロセスについて理解しなければなりません。
人が「欲しい」といったウォンツ状態になるには、大きく2つの要素があります。
これについては、別途記事にてまとめていますので、ぜひ確認しておいてください(下記)
・購買意欲を高めるための「色」や、消費者の心理・行動(動向)論についてまとめてみた
また、消費者の購買心理に最適化された2つの販売理論についても、下記にてまとめました。
・AIDMA(アイドマ)・AISAS(アイサス)の法則とは?購買行動モデル(理論)に最適化するポイントについて
・PASONA(パソナ)の法則とは?神田昌典氏が提唱しているこの法則を用いて、成約率を高めるポイントについて
以上です。
マーケティングリサーチ(調査)に必須!顧客の顕在的・潜在的ニーズの特定について
マーケティングリサーチ(調査)とは・・・マーケティングの一環として、顧客の顕在的・潜在的ニーズをリサーチする事と定義できます。
ターゲットとする消費者の顕在的・潜在的ニーズを徹底的にリサーチし、それを元に、商品(サービス)をつくることで、効率的にマーケティング(売れる仕組み)を構築できます。
また、ココでいう顕在的ニーズは、上述している「ニーズ」に該当し、「潜在的ニーズ」は「ウォンツ」に該当します。
やはりココでも「カギ」となるのは、「ウォンツ」になります。
消費者にとって顕在化しているニーズというのは、提供側も特定しやすいでしょう。
肝心なのは、消費者にとって、まだ自身で認識できていない「潜在しているニーズ」の特定になります。
この「潜在的ニーズ」を特定し、コレに対して的確に訴求することができれば、消費者は、その商品(サービス)を購入するでしょう。
なぜなら、その時点で、消費者にとっては、他社との差別化要素になっているからです。
「潜在的ニーズ」を特定するには、ターゲットとする消費者を、下記の2つの側面で分析することです。
- 消費者が、その商品を手にすることで得られる未来像
- 消費者が、その商品を手にすることで解決できる問題
この2つの側面に沿って、洗いだした項目が「潜在的ニーズ」となります。
例えば、「育毛剤」を購入する男性をターゲット像として定義した場合、
一つ目の「消費者が、その商品を手にすることで得られる未来像」では、
単なる「髪の毛が生えてくる」や「髪の毛が抜けなくなる」では、不十分です。
さらに、なぜ「髪の毛が生えてくる状態」を望んだのか?
を具体化します。
例えば、「人と合う時に気にしなくて良い」・「女性にモテる」・「嫁や子供からの印象を上げる」・「髪の毛をスタイリングできる」
といった「未来」を望んでいると想像できます。
また、二つ目の「消費者が、その商品を手にすることで解決できる問題」では、
「髪の毛が少ない」「髪の毛が抜ける」では、不十分で、
「人からの目線が気になる」・「嫁や子供からの嫌味がいやだ」・「ハゲてたら女性にモテない」
といった問題を抱えていると推測します。
このように一歩踏み込んだ分析をすることで、「潜在的なニーズ」を掘り起こすことができるのです。
ここまで、ターゲットのニーズを掘り起こせたら、あとは、このターゲットに対して、的確に訴求するマーケティング戦略を考えるだけです。
※マーケティング戦略については、下記が参考になります。
・売上高(客数×客単価)をアップする(上げる)ための方法について
以上です。