ネズミ講とは・・・「ねずみ講」というのは俗称のことで、正式には「無限連鎖講(むげんれんさこう)」と呼びます。
※「無限連鎖講」とは、下記のように定義されています。
そうやって、親会員から子会員へ、子から孫へと無制限に増殖していき、一番上の親が最も儲かるシステムのことです。
具体的な「例」を出してみましょう。
例えば、Aさんが創始者となって2人のメンバー(Bさん、Cさん)を勧誘します。
Bさん、Cさんには、入会金をそれぞれ2万円ずつ支払わせ、さらにそれぞれに「会員」を勧誘するように指示します。
そして、Bさん・Cさんは同じように、勧誘した人に対して入会金の2万円を請求し、新たな「会員」を勧誘するよう指示していきます。
このように上から下へ、どんどん「会員」を増やしていき、入会金として徴収したお金は、半分は紹介者へ・もう半分は「創始者や初期のメンバー」で山分けするといった分配方式をとってます。
※分配方式は、組織によって色々なパターンがあります。
ただ、ピラミッドの一番上が儲かり、下にいけばいくほど儲からないことは共通しています。
このようなシステムが、「ネズミ講」であり「無限連鎖講」です。
ただ、世間ではこの「無限連鎖講」としての意味以外でも、「ネズミ講」という言葉を使っています(下記、例)
- マルチ商法やMLM(マルチレベルマーケティング)、及びそれらに類似したもの
- 組織が「ねずみ算的」に拡大してゆき、上の階層の人が下の階層の人より儲かるようなシステム(場合によっては、「無限連鎖講」に当てはまる)
これらは、本来の「ネズミ講として意味」とは異なった意味になりますが、ほとんどの方が気にせず用いているのが実情です。
特に、「ネズミ講をマルチ商法と一緒にしている」人が多い気がします。
この二つは全く違うものですからね(特に法律的に)
※「ネズミ講とマルチ商法の違い」については、後述しています。
今回の記事では、この「ネズミ講」が犯罪(違法)であることと、「マルチ商法やMLM」との違いについて。
また、ネズミ講の有名な事件についても、順に解説していきます。
以下、目次になります。
- ネズミ講は、完全に犯罪(違法)である
- ネズミ講と「マルチ商法やMLM」の違いについて
- ネズミ講として、有名な事件一覧
ネズミ講は、完全に犯罪(違法)である
日本では、ネズミ講(正式名称「無限連鎖講」)は、法律によって禁止されています。
ネズミ講に関して法律ができたのが、1978年で「無限連鎖防止法」といいます(だいぶ前からあるんですね!)
この法律によって、ねずみ講を開設・運営することはもちろん、ネズミ講に加入することや、加入することを勧誘すること、また、これらの行為を助長する行為も禁じられています。
「無限連鎖防止法」の第三条には、下記のような記述があります。
罰則内容としては、下記のように記述があります。
- 無限連鎖講を開設、又は運営した場合は「3年」以下の懲役もしくは「300万円」以下の罰金になる
- 反復継続的に、無限連鎖講に加入することを勧誘した場合は、「1年」以下の懲役または「30万円」以下の罰金になる
- 無限連鎖講に加入することを勧誘した場合は「20万円」以下の罰金(1回勧誘しても違反が成立する)
参考元:Wiki:無限連鎖講
ネズミ講と「マルチ商法やMLM」の違いについて
上述している通り、ネズミ講と「マルチ商法やMLM」は違ったものになります。
では、まず「ネズミ講の特徴」についてまとめてみます(下記)
- 組織は、ねずみ算的に拡大してゆくシステムになっている
- 上の階層の人が、下の階層の人より儲かるシステムになっている
- 商品の販売が目的ではなく、金品の受け渡しが目的となっている
- 法律で禁止されている
「マルチ商法やMLM」との大きな違いは、上記の赤文字部分である「2項目」が該当します。
まず、「マルチ商法やMLM」では、”商品の販売” が目的となります。
一方、「ネズミ講」は、商品は一切介さず「金品のみの受け渡し」が目的となります。
これが、大きな違いの1つです。
※ただ注意しないといけないのが、仮に商品と称するものがあったとしても、商品の価値に対して、販売価格が著しく高いものに関しては、「ネズミ講」に該当します。
次に、法律的な観点です。
「ネズミ講」は法律的には完全に違法となるのですが、「マルチ商法やMLM」というのは、実は「合法」なのです。
法律的に、「マルチ商法やMLM」は『連鎖販売取引』と言われています。
連鎖販売取引は、「特定商取引法(特商法)の第33条」で定義される販売形態のことで、こちらに沿っている場合は「違法」にはならないのです。
※ただ、「特定商取引法の第33条」に沿わないような「マルチ商法」を行なった場合に関しては、「違法」となってしまいます(詳しくはこちらで解説しています→マルチ商法(連鎖販売取引)の仕組みとは?マルチ商法は、ネズミ講と違って犯罪(違法)ではありません)
なので厳密には、「マルチ商法やMLM」は、合法なものと違法なものがある。ということになります。
ただ、基本的に「マルチ商法やMLM」は、連鎖販売取引と定義されるので、無限連鎖講である「ねずみ講」とは、法律的な扱いが違うわけですね。
この2点が、ネズミ講と「マルチ商法やMLM」の主な違いになります。
ネズミ講として、有名な事件一覧
当章では、ネズミ講として有名な事件を「4つ」にまとめてみました。
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【天下一家の会】
内村健一氏による無限連鎖講事件で、同氏の「第一相互経済研究所」が主宰するものでした。
日本最大規模のねずみ講事件であり、大きな社会問題となったそうです。規模:112万人、1900億円
時期:1980年仕組みについては、こちらで解説されています→天下一家の会事件
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【グランドキャピタル】
宝石販売会社である「グランドキャピタル」
経営者は矢吹寿雄氏で、当事件(出資法違反容疑)で逮捕されています。「ペルーインカ帝国 3千年記念の金貨コイン」を購入すれば、関連会社が1年後に買い上げ、2倍以上の配当が得られる。など「元本保証」や「高配当」を謳っていたと言います。
規模:3000人、100億円
時期:2002年これだけの被害額に及んだのは、矢吹氏が有名人を “広告塔” としてフルに利用したところが大きいとのこと。
その中には、デヴィ夫人、ペルーのフジモリ元大統領、長嶋茂雄夫人。また安倍晋三氏も居たとのことです。 -
【年金たまご(ライフ・アップ)】
健康食品の販売会社である「ライフ・アップ」(被告は、元社長の田沢吉美氏)
月額14、000円の食品代などを支払えば、一部が「年金たまご」として登録され、翌年には約283万円、3年目は約609万円がボーナスとして配当されるという「業界初の究極プラン」を謳い、ねずみ講を運営したとされています。
公的年金の先行き不安につけこむ巧みな勧誘で、高齢者を中心に会員数約4万8000人から計110億円を集めたとされます。
時期:2011年11月30日
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【国利民福の会】
「天下一家の会」の元理事である平松重雄らによって、「国利民福の会」が設立されます。
当時の無限連鎖講の防止に関する法律が「金銭の授受」のみを罰則対象に挙げていたことに着目し、国債30万円分を購入して、それを加入権利として授受し、会が指定する上位会員2人に15万円ずつ郵送するというシステムだったといいます。
また、入会に際しては上位会員に送る国債とは別に、6万円の収入印紙を購入したうえで、それを会の本部に送ることも要件としていたそうです。
規模:1万人、36億円
時期:1988年
以上、ネズミ講として有名な4つの事件でした。
まとめ(ネオヒルズ族の人達とネズミ講)
「ネオヒルズ族」とは・・・与沢翼氏や久積篤史氏などが有名ですが、アフィリエイトなどの「インターネットを活用したビジネス」で、年収●●億円といった大金を稼ぎだす人たちのことを指します。
また、六本木ヒルズやミッドタウンといった家賃が数百万のタワーマンションに住み、高級車や高級ブランドを所有しているのが特徴で、TVや週刊誌でも多数紹介されています。
昨今では、この「ネオヒルズ族」の人達にたいして、
■「なにが高額塾だ!ただのネズミ講じゃねーか!」
といった声が相次いでいるようです。
「ネオヒルズ族 被害」・「ネオヒルズ族 詐欺」とググってみたら、このような声が山ほどヒットするでしょう。
ネオヒルズ族のビジネスを簡単にまとめると、
- 情報商材を、販売サイトやブログ・オークションなどで売りつける
- 情報商材を購入した人に対して、さらに「自身が運営してる会費制の塾」へ入会を勧めていく
※「情報商材」とは・・・主に、「インターネット」を介して売買される情報(ノウハウ)のことを指し、情報自体が商品となります。
その内容としては、「アフィリエイトのノウハウ」や「FXなどの投資関連」から「ギャンブルの必勝法」まで、”稼ぎ系” のものがほとんどですが、「ダイエット法」や「異性にモテるノウハウ」なども存在します。
ここで、特に問題になっているのが「塾の運営内容」です。
表向きには、ネオヒルズ族の人々が講師となって、アフィリエイトや情報商材を使って稼ぐための講義や、生徒一人一人に対してのコンサルティングなどが主な内容になっています。
ですが、実際には入会金として「何十万」といったお金を徴収するだけしといて、入会者に対しては、さらに別の人を勧誘するように指示するそうです。
下記のような事例もあるそうです。
また入会したら、「認定コンサルタント」という者になれて、一人紹介することで5万円が報酬としてもらえる仕組みになっている。
要は、紹介すればするほど報酬がもらえるという事になります。
もちろん、その分入会費として「親玉」であるピラミッドの上層部には、ガッポガッポお金が入ってくる仕組みになっています。
要は、「ねずみ講」なんです。
また、こちらの塾は、クレームが多発しているが、役員の手によって揉み消されているみたいです。
※参照元:NAVERまとめ:ネオヒルズ族の闇を暴露
このような事が、本当に起きているのであれば大問題でしょう。「ネズミ講」と呼ばれる理由も納得できます。
一見、情報商材やコンサルティングといった「商品」があるので、こちらは「ネズミ講」に該当しないように思えますが、
入会金の金額に対して、塾の価値が著しく低かったり、コンサルティングと謳っていたにも関わらず、実際にはコンサルなどしていないという事であれば、
「ネズミ講」として該当する場合もありますし、少なくとも「特定商取引法」からは逸脱しているため、完全に違法となります。
※ネオヒルズ族の「影の部分」に関しては、下記でも詳しく解説してます。