購買意欲とは・・・消費者が、何らかの商品を購買したいと思う意欲のことを指します。当然、購買意欲が高ければ「商品の購入」に至りますし、低ければその商品を買うことは無いでしょう。
重要なのは、商品の提供側が、この「購買意欲」を深く理解した上で、販売戦略を立てることです。
もし、「売上げがまったく上がらない」「広告を出稿したが、全く効果がなかった」「集客はできているのに、まったく購買(クロージング)に至っていない」などといった悩みを抱えている方は、「消費者の購買意欲」について考えていないケースがほとんどです。
購買意欲というのは、人の心理に深く影響しています。
なので、「人が商品を購買するときの行動論(プロセス)や心理学」について、深く精通しなければなりません。
また、「人の心理」というのは「色」によって、無意識のうちに影響を受けているものです。
例えば、「信号」
信号が「赤」になったら、みんな止まりますよね。
では、そもそもなぜ「赤」が ”止まれ” なのでしょうか?
これは、「赤色」には注意喚起をうながす効果があるからです。
なので、「赤で渡っちゃうと、重大な事故に発展するような危険性が有りますよ。なので止まってください」と効果的に注意喚起するために、「赤」が使われているんですね。
このように「色」には、人々の心理に深く影響するものです。
なので、当然「購買意欲」を促進するような「色」というのもあります。
そこで、今回の記事では、購買意欲を高めるような「色」の紹介と、「人が商品を購買するときの行動論(プロセス)や心理学」について、順に解説していきます。
以下、目次になります。
- 購買意欲を高めるための色について
- 購買意欲を高めるための消費者心理・行動(動向)論について
- まとめ:日本人の消費動向について
購買意欲を高めるための色について
上述しているとおり、普段何気なく見ている色には、その色が持っている効果によって、見る人の心理に様々な影響を与えています。
例えば、マックやモスバーガーなどのファーストフード店では、回転率を高めるよう「人々を急かす効果がある ”赤色”」が使われていたり、長居しやすい雰囲気を推しとしている喫茶店では、「人々を落ち着かせ、リラックスさせる」効果のある「木目やベージュ」が使われています。
このように、ターゲットとする人物像や、どのようなイメージを植え付けたいのかといったブランディング戦略に、「色」の要素は欠かせません。
当然、人々の「購買意欲」を高めるにも、「色」というのは重要な要素です。
実際にアンケートを取ったら、ECサイトで特定の商品を購入した理由として、「85%」の顧客が「色」を主要な理由として挙げています。
参考元:Webクリエイターボックス:ECサイトの色やデザインと購買意欲の関係
そこで、当章では、人々の「販売意欲」に影響を与える「色」についてまとめてみました。
購買意欲を最も刺激するのは、「赤色」である
「赤」というのは、下記のような心理イメージを作るそうです。
- 【プラスの心理】:情熱的、注目、暖かい、購買意欲、食欲増進
- 【マイナスの心理】:安っぽい、危険、暴力
上記にもあるとおり、「赤」というのは ”購買意欲” を高める効果があります。
ある心理学者によれば、「赤」というのは、見ている人の注意をひき、血圧や体温・興奮作用を高め、それが「購買意欲」にも繋がるのだと言います。
実際「楽天」のページを見てみると、コンバージョン率を高めるために重要となる要素には、必ずと言っていいほど、「赤」が使われています(下図)
※「コンバージョン」については、こちらで解説しています→コンバージョン(conversion)の意味とは?CVR:コンバージョン率(レート)を上げるための6つのポイント
また、「赤」には食欲を増進させるための効果も持っているので、飲食店なんかは、店内や店頭デザインに「赤」を使うと、効果的に食欲を増進させ、売り上げに繋げていくことができるでしょう。
実際に、「マクドナルド」なんかは、かなり「赤」が多めなデザインになっています(下図)
購買単価を上げたい場合は、「黒」や「紫」をつかう
「黒」や「紫」というのは、下記のような心理イメージを作るそうです。
・高級、重厚感、光沢
【紫】
・優雅、神秘的、ゴージャス
上記のような特徴から、「商品」に対して高級感やゴージャスな感じを出すのに効果的なのが、「黒」や「紫」です。なので、商品の販売単価を上げたい場合などに使えるでしょう。
女性の購買意欲を高めるには、「ピンク色」がオススメ
「ピンク色」というのは、下記のような心理イメージを作るそうです。
上記のような特徴から、若い女の子をターゲットとした美容・ファッション関係の販売店舗やECサイトでは、よく使われています。
消費者行動の「ついで買い」を促進しやすいのが「白色」
「白色」というのは、下記のような心理イメージを作るそうです。
上記から、白色は、広々とした空間を演出し、滞留時間を延ばす効果があるとされています。
美術館などが、まさにそうでしょう。
滞在時間が延びるため、消費者は、長い時間居る分「ついで買い」をしやすいんですね。
以上です。
上記以外にも、商品の特徴やターゲット属性によって、人々の購買意欲を効果的に誘導できる「色」は変わってきます。
なので、下記記事を見て、各色が人々の心理にどのような影響を与えるのかを理解しておいてください。
・色(カラー)が人の心理に与える印象(イメージ効果)と、好きな色で分かる人間の性格について診断してみた
次は、「配色」について解説していきます。看板やポスター、商品販売サイトなど、どのような「配色」にするか、ポイントにすべきかまとめました。
購買意欲を高めるための「配色」について
広告や商品のランディングページのデザインを考える上で、色単体の効果だけではなく、「配色」も重要な要素です(「ランディングページ」については、こちらで解説しています→ランディングページとは?landing pageの作り方(制作手順)と、LPO対策で重要な8つのポイントをまとめてみた)
配色において、特に大事なのは、使う色を多くしすぎず、統一感のあるページデザイン(配色)にすることです。
使う色が多すぎると、まとまりがなく散らかっている印象を与え、それだけで消費者は見る気を無くしてしまいます。
例えば、商品のランディングページであれば、「背景」、「通常の文字色」、「値段」、「リンク色」、「セールの文言(50%OFF など)」、「購入ボタン」、、、など多数の「色を変えたくなる要素」がありますが、なるべく「色」を統一させ、シンプルな配色にしてください。
参考としては、3~5色ぐらいが適当かと思います。
また「配色」には、「70:25:5」の法則というものがあります。
これは、ベースカラー・メインカラー・アクセントカラーの3色を決めて、それぞれの割合を70%・25%・5%に割り振るとバランスよく見えるという法則になります。
それぞれの色のポイントを下記にまとめました。
-
【ベースカラー】 : 背景に当てはめるケースがほとんどで、「白」などの明度の高い色を設定し、文字を見やすくすると良いでしょう
※「明度」とは・・・「明るさの度合い」のことです。一番明度の高い色が白で、一番低い色が黒になります。
もし、視認性(見やすさ)よりも、誘目性(目を引きつける)を重要視する場合は、「赤」や「青」・「黒」といった色にしても良いでしょう。
- 【メインカラー】 : メインカラーは商品のブランド色や、ターゲットとなる消費者の事を考えた色に設定しましょう。また、ベースカラーと相対的に合う色にする事も忘れないで下さい
- 【アクセントカラー】 : アクセントカラーは、メインカラーに対して相対的に設定します。具体的にいうと、明度が対局に位置する色を設定すると、良いアクセントになるでしょう
「各色の明度グラフ」
以上、配色の設定ポイントでした。
「色彩心理学者」によれば、Webにおいて、商品が「受け入れるか」・「拒絶されるか」の60%は、”色の印象” によって左右される。とされています。
消費者の購買意欲に、いかに「色」が起因しているかが分かるでしょう。
また、売れているネットショップなどを見てみると、消費者の販売意欲を高めるために様々な仕掛けが施されています。
参考になるポイントが多々あるので、ぜひ一度見ておくと良いでしょう。
購買意欲を高めるための消費者心理・行動(動向)論について
当章では、人が購買意欲を高める際の心理的な流れや、人が商品を購入する際の行動論(プロセス)について、順に解説していきます。
以下、目次になります。
- 人は、なぜ商品を購買するのか?その2つの深層心理について
- 購買行動論(プロセス)の「AIDMAの法則」と「PASONAの法則」について
人は、なぜ商品を購買するのか?その2つの深層心理について
人が、何かしらの商品を購入するのは、2つの心理状態があるからです。
- 苦痛・不快という状態を脱したい
- 理想とする状態に成りたい
この2つの状態のどちらか、又はどちらもの心理状態になっている時、人は「商品を購買する」という行為に至るのです。
「人にモノを売る」という事を考える上で、これが最も重要で根源的なポイントになります。
例えば、男の人が育毛剤を購入するケースを考えてみましょう。
育毛剤を買う男の人というのは、下記のような悩みを持っていると想像できます。
「既に薄毛になって、困っている」
「将来的に薄毛にならないか心配になっている」
このような悩みを持って、「はやくこの悩み・苦痛から抜け出したい」という心理になった時に、人は「育毛剤」を購入するわけです。
これが、一つ目の「苦痛・不快という状態を改善したい」になります。
一方、既に薄毛になっている男の人がいて、彼は下記のような心境になっています。
「一度、薄毛になってしまったら、もうどうしようもないんだろ。育毛剤なんて効くわけない」
このように、既にあきらめている様なケースですね。
ただ、「髪が生えてくれば・・・」という願望はあります。
そんなときに、下記のようなTV番組を見ました。
一定期間ごとに、どのように推移していったかの証拠もあり、非常に信憑性を高く感じた。
この番組をみて、「自分もあの育毛剤を使えば半年後には、あの人と同じようになれるはず」
上記のように思い、その番組が終わる頃には、電話を手に持っていた。
このように、理想とする自分の将来像を明確にイメージすることができれば、欲求が高まり「購買」へと至ります。
また、上記はテレビショッピングでは必ず使われる手法で、
商品を紹介していく前に、まず「困っている人」が登場します。
そして、どのような事で困っているのかという事を詳細に述べた後に、
「そんな悩みを解決するのが、この商品です」といって、初めて商品の紹介をするわけですね。
これは、同じように「困っている人」の共感・感情移入を目的としています。
悩みを通して、自分に置き換えてもらうことで、効果的に購買意欲を高めてもらえるわけですね。
このように、商品紹介だけではなく、消費者が商品を購入する際の理由を考慮することが、「商品を販売する」うえで、非常に重要なことなのです。
購買行動論(プロセス)の「AIDMAの法則」と「PASONAの法則」について
消費者が商品を認知してから購買するまでの行動には、ある法則化されたプロセスがあります。
それが、「AIDMAの法則」と「PASONAの法則」になります。
どちらも、広告やマーケティングの世界では、非常に有名な法則になっていて、広告戦略を策定するする際などに利用されています。
では、順に解説していきましょう。
まず、「AIDMAの法則」ですが、こちらは消費者の購買における行動プロセスを下記のように定義しています。
- Attention(認知・注意)
- Interest(興味・関心)
- Desire(欲求)
- Motive(動機)
- Action(行動)
簡単に流れを説明すると、
- 消費者は、まず最初に、テレビCMや雑誌などから商品の存在を「認知」し、
- その商品を自分に関係あるものとして「興味・関心」を示し、
- その商品が自分の役に立つ(問題を解決する)モノとして、欲しいと思い「欲求」、
- その商品の販売実績や表彰経験を知ることで、それが「動機」へとつながり、
- 販売店へといって商品を購入する「行動」
といった流れになります。
また、この「AIDMAの法則」を、インターネットが普及した現在に応用させたモノで、1995年に「電通」が提唱した「AISASの法則」というものがあります。
こちらは、インターネットが普及したことで、「検索」と「共有」が購買プロセスに入った法則になります(下記)
- Attention(認知・注意)
- Interest(興味・関心)
- Search(検索)
- Action(行動)
- Shere(共有)
人は、商品を購入するまえに、Googleなどの検索エンジンで商品情報を検索し、商品を購入したあとは、ソーシャルメディア上で、感想などを共有する。といったプロセスが反映されています。
この事から、Google上に広告を出稿したり、「SEO」という技術で、自分のサイトの検索順位を上位に上げたり、自社のFacebookページを運営したりといった「Webマーケティング」が、集客や売上げを上げるための施策として重要視されてきました。
※「SEO」については、こちらの記事にてまとめています→SEO対策とは
実際、約1000人に対して「購買意欲が高まる理由」についてのアンケートをとった結果、50%以上が、「仲の良い友人・知人がオススメしていた時」と答えています。
さらに、ネット上での口コミやブログなどで良い評判になっている事も、47%の方が、購買意欲が高まるとしています。
これらの事から、消費者の購買行動プロセスにおいて、いかに「共有」が重要かが分かるでしょう。
「AIDMA」や「AISAS」の法則については、こちらの記事でも詳しくまとめています→AIDMA(アイドマ)・AISAS(アイサス)の法則とは?購買行動モデル(理論)に最適化するポイントについて
次に、「PASONAの法則」ですが、こちらは「消費者の購買行動」に対して、最適化された広告文章の流れ(プロセス)となっていて、下記のように定義されています。
- 【Problem(問題)】 : 問題点を明確化する
- 【Agitation(扇動)】 : 問題点を煽り立てる
- 【Solution(解決策)】 : 解決策を示す
- 【Narrow down(絞込)】 : 対象客や期間を限定する
- 【Action(行動)】 : 行動を呼びかける
上記の構成に沿って、広告文やセールスレター・ダイレクトメール(DM)を作成していくことで、効果的に「購買意欲」を高め、購入へと促すことができます。
※セールスレターの作成ポイントや例文については、こちらでも解説しています→セールス(sales)の意味とは?トップセールスマンが、セールスレターを書くときの4つの共通ポイントについて
この「PASONAの法則」の記述例やポイントについては、下記記事にてまとめています。
・PASONA(パソナ)の法則とは?神田昌典氏が提唱しているこの法則を用いて、成約率を高めるポイントについて
以上、「AIDMA」と「PASONA」の法則でした。
まとめ:日本人の消費動向について
野村総合研究所(NRI)は、97年から日本の消費者1万人を対象にした大規模な調査をおこなっています。
それによれば、対象としている1万人の消費者の平均世帯年収は、下記のように推移しています。
- 「1997年」 : 713万円
- 「2012年」 : 583万円
上記から、実に2割以上落ち込んでいるのが分かります。
一方で、1人当たりの消費支出額は、下記のようになっています。
- 「2001年」 : 221万円
- 「2010年」 : 216万円
なんと、消費額でいえば、たったの「2%」ほどしか減少していないんですね。
実際に収入は激減していて、「不景気だ」「モノが売れない」などといった社会情勢になっていますが、実は、それに反して日本人は「お金」を使っているんですね。
また、下図は、人々の購買形態(購買スタイル)を表したグラフになります。
上記でピックアップすべきなのが、
- とにかく「安いもの」を求める購買スタイルは、年々減ってきている
- 自分が気に入ったモノには、たとえ高くても購買するといった「プレミアム消費」は年々上がってきている
これは、収入が激減しているといった現実からみたら、意外なポイントですよね。
消費者は、より安いものを求める購買スタイルではなく、自身で厳選した質の高いものを求める購買スタイルに移行してきているのです。
販売側は、この「消費動向」に目を向けなければなりません。
安易に「安くすりゃ良い」といった販売戦略ではなく、ターゲットとする消費者が価値と感じる部分の質を上げ、それを的確に消費者に訴求する必要があるのです。
以上です。
参考:日経ビジネス:生活者1万人調査で見える「誰が、なぜ、何にカネを使っているか」