どーもー、某IT系の会社でエンジニアとして働ている者です(当ブログの管理人です)
今回は、IT業界にて非常に多い働き方の一つである「客先常駐」について、解説していきますが、
ネット上を調べてみると、「客先常駐はやばい・やめとけ」なんて声が多いように感じますが、
一方で、「楽しい」という声も見受けられました。
というわけで、今回の記事では、客先常駐の企業で働くITエンジニア(SE)のメリット・デメリットや、向いている人の特徴について。
また、客先常駐となる企業間の契約種別の違い(派遣やSESとの違いなど)について、順に解説していきます。
以下、目次です。
- 客先常駐とは? ~IT業界やSIer界隈に多い理由
- 客先常駐の3つの契約種別:「派遣・請負・SES(準委任)」 ~それぞれの違いと見分け方
- 客先常駐で働くITエンジニア(SE)のメリット ~楽しいと感じる向いている人の特徴
- 客先常駐で働くITエンジニア(SE)のデメリット ~やばい・やめとけ・辛いと言われる理由
客先常駐とは? ~IT業界やSIer界隈に多い理由
客先常駐とは、自社ではなく顧客(客先)のオフィス内に常駐して勤務する形態を意味します。
冒頭でも記載した通り、IT業界(SIer界隈)では、非常に多い働き方の一つであり、
客先常駐で働くエンジニアを「客先常駐エンジニア(SE)」と呼びます(そのままですね)
客先に常駐している契約期間中は、基本的には自社に出社することはなく、月一の業務報告書を提出するために出社する程度となります。
ではなぜ、この客先常駐がIT業界(Sier界隈)に多いのか。
その理由は、以下の2点になります。
-
「セキュリティ保護の観点」
一つは、セキュリティの観点です。
個人情報などの保護から、遠隔地からの勤務を禁止しているケースですね。
他にも、PCは必ず客先から指定されたもので、持ち出し禁止もよくあります。
特に、政府系や金融・保険系の案件では、厳しいところが多いです。
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「雇用リスクへの対策」
そもそもですが、客先常駐の発注元企業に対して、自社に必要なエンジニアを雇い込めば良いのではないか。。といった疑問が出てくると思います。
たしかに、自社にエンジニアを抱え込めば、システム開発を外部に依頼する必要もありません。
ただし、実際にはかなり厳しい実態があります。
システム開発のプロジェクトは、あくまで一時的なものであり(期間の長短はありますが)
基本的にはシステム開発が完成すれば、エンジニアの人出はそこまで必要にはならず、エンジニアの人材を持て余してしまいます。
ですが、日本の企業では簡単に正社員をクビにはできません。だからこそ、自社で多くのエンジニアを抱え込むことには雇用リスクが出てきます。
そこで、外部のエンジニアを一時的に調達できれば、雇用リスクの問題を避けることができるというわけです。
IT業界ではこのような需要がかなり多いため、客先常駐といった働き方が無くならないわけです。
以上です。
IT業界(Sier界隈)に客先常駐が多い理由まとめでした。
客先常駐の3つの契約種別:「派遣・請負・SES(準委任)」 ~それぞれの違いと見分け方
続いて、客先常駐をおこなう際の、自社(SIer等のIT企業)と客先間の契約内容について、紹介していきます。
エンジニアが客先常駐で働いている場合、契約内容は以下の3つのどれかに該当します。
- 準委任契約(SES)
- 請負契約
- 派遣契約
では、順に解説していきます。
1、準委任契約(SES) ~客先常駐の契約種別の違いと見分け方
準委任契約は、クライアント側(客先)が、法律行為以外の業務(システム開発など)を、IT企業に発注する際の契約形態のことです。
「SES(System Engineering Service)」とも呼ばれています。
(ちなみに、「委任契約」は、法律行為の業務が該当します。なので、弁護士に仕事を依頼する時は、委任契約となります)
準委任契約は、エンジニア一人当たりの日給や月給といった形で、時間当たりの報酬を定期的に受け取る報酬形態となります。
そのため、納品物に対する責任はありません。
仮に、クライアントからのシステム開発の依頼を受けて、その依頼に沿ったシステム(納品物)を予定通りに納品できなかったとしも、納品義務は無いため報酬を受け取ることはできます(労働時間に対しての報酬形態のため)
また準委任契約において、業務に関する指揮命令権は、システム開発案件の受注側(SIerなどのシステム開発会社)にあります。
そのため、客先から残業や休日出勤などの指示を出すことは、禁止となります。
ちなみに、準委任契約(SES)は、客先常駐でなくても問題はありません(自社での開発でもOKです)
そのため、全てのSESが、客先常駐に該当するわけではありません。
また、準委任契約(SES)で働いているエンジニアは、システム開発の受注側企業に正社員として雇用されているため、
仮に、常駐先がしばらく決まらず待機状態であったとしても、その間の給料については、ちゃんと支払われます(ここが、派遣社員との違いですね)
また、IT業界(SIer界隈)では、「客先常駐=SES」として扱っているケースも多いです。
2、請負契約 ~客先常駐の契約種別の違いと見分け方
請負契約は、IT・SIer業界で、システム開発の案件を受発注する際に、最も一般的な契約となります。
請負契約は、業務委託契約の一種で(上記の準委任も同じ)、クライアントからのシステム開発の依頼を受けて、その依頼に沿ったシステム(納品物)を、納品することで、一括で報酬を受け取れる契約形態のことです。
このように、請負契約では納品義務があり、納品物に対して責任を負う契約となります。
なので、もしも契約通りの納品ができなければ、報酬を貰う事ができません(ここが、準委任契約との大きな違いとなります)
また、指揮命令権はクライアント(発注側)ではなく、システム開発会社(受注側)にあります。
そして、請負契約も準委任(SES)と同様に、客先常駐でなくても問題はありません(自社での開発でもOKです)
3、派遣契約 ~客先常駐の契約種別の違いと見分け方
こちらは、IT業界に限らない一般的な「派遣」となります。
派遣契約では、働いた時間に対して報酬が発生し、
派遣者への指揮命令権はクライアント側(発注者)が持つことが特徴です(ここが、上記2つの契約との主な違いです)
また、派遣社員は、派遣先で働く期間のみ派遣会社と雇用契約を結ぶため、派遣期間が終了すると雇用契約も終了となります。
そのため、次の派遣先が決まるまで給与は発生しません。
以上です。
客先常駐の3つの契約種別:「派遣・請負・SES(準委任)」の特徴と違いについて、まとめてきました。
※各種、契約内容については、以下の記事でもまとめているので参考にしてください。
ちなみに補足ですが、上記の契約内容とは別で、「SIer」という言葉について。
SIerとは、System Integrator(システム・インテグレーター)の略で、システム開発や運用などを請け負うIT企業や事業者の事を指します。
SIerが客先と結ぶ契約についても、基本的には上述の3つのどれかに該当します。
また、SIerは自社で開発を請け負う事も多いので、客先常駐とは限りません。
客先常駐で働くITエンジニア(SE)のメリット ~楽しいと感じる向いている人の特徴
続いて、客先常駐のIT企業(SIerなど)で働くエンジニアのメリットについて、以下にまとめました。
- 様々な会社のプロジェクトで経験を積める
- 人脈を広げやすく、将来的には転職やフリーランスへの転向も
- エンジニア未経験から正社員に転職しやすい
では、順に解説していきます。
1、様々な会社のプロジェクトで経験を積める ~客先常駐で働くITエンジニア(SE)のメリット
客先常駐のエンジニアは、参画するプロジェクトごとに様々な企業の開発現場で経験を積むことができます。
当然、企業ごとに開発要件や環境、採用技術、サービス内容など、多くの違いがあります。
規模も、大企業の大きなプロジェクトから、中小企業の小規模なものまで。
このように、多くのプロジェクトで開発経験を積むことで、幅広いスキルの習得が可能となります。
また、一つの企業で集中するよりも、環境の変化を好むようなエンジニアの方には、向いている働き方でしょう。
2、人脈をを広げやすく、将来的には転職やフリーランスへの転向も ~客先常駐が楽しいと向いているITエンジニアの特徴
こちらは、前項のポイントとも関係してきますが、
客先常駐のエンジニアは、様々な企業のプロジェクトに参画することで、人脈を広げやすいのも特徴の一つです。
クライアント先の社員や、同じプロジェクトに参画している別の客先常駐エンジニアなど。
こういった人脈から、転職の話を貰ったり、フリーランスへの転向もしやすくなります。
実際に、私のいる会社でも、客先常駐エンジニアの方が、正社員として転職してきたケースが複数回あります。
このように、参画プロジェクトが多いと、様々な企業の方と人脈を形成できる点もメリットの一つです。
特に、社交的でコミュニケーションが好きなエンジニアには向いているでしょう。
3、エンジニア未経験から正社員に転職しやすい ~客先常駐が楽しいと向いているSEの特徴
客先常駐を基本としているIT企業(SIerやSES)では、エンジニア未経験の方が、正社員として転職する際、最もハードルが低いのが特徴です。
逆に、自社でサービス開発兼運営をしているような企業への転職は、基本的に実務経験者を求めています。
特に、Yahooとか楽天とかリクルートとか、誰もが知っているような人気企業はハードルが高く、
ITエンジニアとしての実務経験が3年以上あり、スキルも高くないと厳しいです。
一方で、客先常駐のSIer等では、人材確保を重視しており、未経験歓迎の企業が多いです。
そのため、未経験から正社員を目指している方にとっては、客先常駐は狙い目の一つといえます。
※とは言っても、プログラミングの学習など、一定の準備は必要ですし、未経験採用の場合、年齢制限があることも多いです。
以上です。
客先常駐で働くITエンジニア(SE)のメリットや、楽しいと感じる向いている人の特徴についてまとめてきました。
客先常駐で働くITエンジニア(SE)のデメリット ~やばい・やめとけ・辛いと言われる理由
続いて、客先常駐のIT企業(SIer等)が、「やばい・やめとけ」と言われる理由について、
そこで働くエンジニアのデメリットとともに、以下にまとめてみました。
- 客先毎・プロジェクト毎の良し悪しがある
- 環境の変化が多い
- 帰属意識を育てにくい
- 自社と客先の両方の許可が必要なケースがある
- 年齢による案件数の減少
では、順に解説していきます。
1、客先毎・プロジェクト毎の良し悪しがある ~客先常駐で働くITエンジニア(SE)のデメリット
客先常駐で働く場合、客先(プロジェクト)毎に、メンバーや労働現場、システム要件、採用技術、労働環境・ルールなどが変更となります。
もちろん、自分が希望するようなプロジェクトに回されないケースも出てくるでしょう(特にスキルが無いうちは)
分かりやすく言うと、phpの案件を希望していたのに、javaの案件に回されたりとかですね。
特に、未経験から転職して最初のうちは案件を選べません。。
プログラミングの案件を希望していたのに、ネットワーク監視の案件に回されたり、、なんて事も普通にあります。
これは、スキルが無いから、仕方ない事でもありますしね。
あとは、プロジェクトによっては、炎上中のところに送り込まれて、残業や労働時間が増えてしまう事もあるでしょう。
というわけで、客先(プロジェクト)ごとに良し悪しがあることも、客先常駐エンジニアのデメリットになります。
(まあ、一般的な会社でも、自分の希望している部署に配属されなかったり、忙しい時期・暇な時期がある。といった事は普通にある事ですけどね。)
2、環境の変化が多い ~客先常駐はやばい・やめとけ・辛いと言われる理由
こちらは、メリットの項でも記載している通り、様々な客先(環境)で、様々な経験を積んでいけるので、メリットにもなるのですが、
人によっては、環境の変化をストレスに感じる人も多いでしょう。
数ヶ月単位で、関わる人達や仕事場が変化していくわけですからね(期間は、客先との契約にもよりますが)
なので、同じ会社で同じメンバーと同じ仕事をしていきたいと思っている方にとっては、大きなデメリットとなります。
3、自社への帰属意識を育てにくい ~客先常駐で働くITエンジニア(SE)のデメリット
こちらも、客先常駐で働く以上は仕方のない事となります。
出社先は客先であり、それも数ヶ月単位で変わってしまう事もあり、
自社への出社は、多くても月イチの業務報告書を提出する時くらいでしょう。
当然、自社への帰属意識は希薄となってしまいます。
そのため、帰属意識が薄いなかで、以下にモチベーションを保っているけるかがポイントとなります。
環境の変化を好み、社交的でコミュニケーションが好きなエンジニアにとってはメリットになりますが、そうでない場合は、デメリットとなってしまいます。
4、自社と客先の両方の許可が必要なケースがある ~客先常駐はやばい・やめとけ・辛いと言われる理由
客先常駐の場合、報告や連絡先が自社と客先の両方を必要とするケースがあります。
例えば、休みの申請について。
体調不良などで会社を休む場合は、客先と自社の両方に連絡をしなければいけません。
まだ契約が始まった初期段階で、客先に休みを申請しにくい。。なんて事情もあったりするでしょう。
このような、ちょっとしたストレスも、客先常駐エンジニアのデメリットとなります。
5、年齢による案件数の減少 ~客先常駐はやばい・やめとけ・辛いと言われる理由
こちらは、客先常駐に限らず、システム開発を発注するクライアント(客先)側の都合として、対象とするエンジニアは20~30代を求める傾向にあります。
それは、単純に人件費が安いからですが、募集の条件に39歳以下としている企業も多いです。
このような背景から、特に40歳を超えている場合は、案件が限られてくるデメリットがあります。
特に、40歳を超えていてスキルが低い場合は、注意が必要です。
メリットの項で挙げている、未経験から転職がしやすい点についても、対象は20~30代の若い方が基本です。
そのため、40歳以上で未経験からITエンジニアへ転職したい場合は、かなり厳しいのが現実となります。
以上です。
客先常駐で働くITエンジニア(SE)のデメリットと、「やばい・やめとけ・辛い」と言われる理由でした。
というわけで、
今回の記事では、客先常駐の企業で働くITエンジニア(SE)のメリット・デメリットや、向いている人の特徴について。
また、客先常駐となる企業間の契約種別の違い(派遣やSESとの違いなど)について、順に解説してきました。
今後、客先常駐の企業へ転職をしたい方や、
客先常駐から自社開発の企業へ転職を検討している方の参考になっていれば幸いです。
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では。