クーリングオフ制度とは・・・特定商取引法や、その他の法律に定められている制度で、消費者が「訪問販売」などの不意な訪問を受けて契約したり、「マルチ商法」などの複雑でリスクが高い取引で契約した場合に、一定期間であれば無条件で契約を解除できる制度です。
詳しくは、下記記事にて解説しています。
この「クーリングオフ制度」ですが、勘違いしちゃいけないのが、「店頭販売」や「通信販売」では、この制度は適用されません。
これは、「店頭販売」であれば、自分の意思でお店に出向いて契約(売買)をします。
また、「通信販売」でも、自分から気に入った商品に対して契約をしますよね。
※インターネット上での買い物も「通信販売」に入ります。
このように、自分の意思で主体的に契約をおこなう場合については、クーリングオフ制度は適用されないので、注意してください。
※ネットショッピングでは、お店側で「○○日以内であれば、返品可」といった事が定められている事がありますが、これはあくまで「お店の独断(サービス)」で決めていることです。
今回の記事では、この「クーリングオフ制度」が有効となる期間や、手続き方法について順に解説していきます。
以下、目次になります。
- クーリングオフ制度の有効な期間
- クーリングオフ制度の手続き方法(書面の書き方)
- クーリングオフ制度で、「その他」知っておくべきポイント
※「クーリングオフ制度」は、いくつかの法律によって定められていますが、当記事では「特定商取引法」のクーリングオフ制度を例に挙げて説明していきます。
クーリングオフ制度の有効な期間
商品を「購入(契約)」してから、何日間までだったら「クーリングオフ制度」が有効なのか・・・
当章では、「特定商取引」に該当する下記5つの販売形態について、クーリングオフ制度の有効な期間をまとめました。
- 訪問販売(キャッチセールス、アポイントメントセールス等を含む):8日間
- 電話勧誘販売:8日間
- 通信販売:なし (ただし、返品の可否や条件について、必ず(広告やサイト上に)表示するよう定められており、その表示がない場合、商品の引き渡しを受けた日から8日以内であれば、消費者が送料を負担して返品することができます)
- 連鎖販売取引(マルチ商法):20日間
- 特定継続的役務提供(エステ、語学教室、学習塾、家庭教師、パソコン教室など):8日間
※クーリングオフ制度が始まる「スタート日」は、契約書類を受け取った日を1日目と定められています。
また、契約書類を受けとっていない場合は、いつでも「クーリングオフ」することができます。
さらに、「クーリングオフ」ができない等と事業者が言ったり、脅したりして「クーリングオフ」ができなかった場合には、所定の期間を過ぎても適用することができます。
クーリングオフ制度の手続き方法(書面の書き方)
当章では、クーリングオフをする際の手続き方法について、順に解説していきます。
まず前提として、クーリングオフする際は、必ず書面でおこないましょう。書面は「はがき」で良いです。
以下、書面の記載例(書き方)になります。
【販売会社あての書面例】
書面例の参考元:国民生活センター:クーリングオフ
「ハガキ」の作成が完了したら、以下3点に注意した上で販売会社あてに送付しましょう。
- 上述している所定の期間内に必ず書面を送る
- 「ハガキ」を書き終えたら、控えとして両面をコピーしておく
- 送付する際は、「特定記録郵便」または「簡易書留」などの記録の残る方法で送る
クーリングオフ制度で、「その他」知っておくべきポイント
当章では、クーリングオフ制度について、上述している内容の他に「知っておくべきポイント」を4つに分けて解説していきます。
では、順に見て行きましょう。
クーリングオフが適用されないケースについて
以下の「2例」については、クーリングオフは適用されないので注意してください。
-
3千円未満の現金取引
-
使用することで商品価値がなくなるモノ(消耗品)を、使用してしまった場合
使用することで商品価値がなくなるモノ(消耗品)は、「化粧品」や「健康食品」が当てはまります(厳密には、下記「8種」が定義されています)
『消耗品の定義』1:動物および植物の加工品でいわゆる「健康食品」等と呼ばれているもの(医薬品を除く)
2:不織布、織物
3:コンドーム、生理用品
4:防虫剤、殺虫剤、防臭剤、脱臭剤(医薬品を除く)
5:化粧品、毛髪用剤、石けん(医薬品を除く)、浴用剤、合成洗剤、洗浄剤、ツヤ出し剤、ワックス、靴クリーム、歯ブラシ
6:履物
7:壁紙
8:配置薬※ただし、契約書内に「消耗品を使用した場合にはクーリングオフができない旨の記載」がない場合は、クーリングオフができます。
以上です。
クーリングオフにおいて、「解約料」は一切いらない
仮に商品を使っていたとしても、サービスを受けたあとでも、その費用は一切払う必要はありません。
また、商品を引き取ってもらう際の費用や、工事をしたところを元に戻すなどの費用は、全て事業者の負担になります。
クーリングオフ制度がある「その他の法律」
「特定商取引法」以外の法律で、クーリングオフ制度があるものを下記にまとめました(代表的なモノのみです)
- 割賦販売法35条の3-10、11 : 個別クレジット契約
- 保険業法309条 : 生命・損害保険契約
- 宅地建物取引業法37条の2 : 宅地建物取引
- 金融商品取引法37条の6 : 投資顧問契約
上記の法律において定めている契約(取引)についても、クーリングオフ制度はあります。
情報商材のクーリングオフについて
情報商材とは・・・主に、販売サイトやオークションなどインターネットを介して売買される情報(ノウハウ)のことを指し、情報自体が商品となります。
情報形態としては、画像とテキストが組み合わされた「PDFファイル」であることがほとんどで、内容としては「アフィリエイトのノウハウ」や「FXなどの投資関連」から「ギャンブルの必勝法」まで、”稼ぎ系” のものがほとんどですが、「ダイエット法」や「異性にモテるノウハウ」なども存在します。
詳しくは、こちらでも解説しています→情報商材とは?”稼ぎ系”の9割以上は詐欺まがいのモノである
情報商材の取引の特性上、取引が完了してのち、消費者のもとに情報商材がこないと内容を確認することができません。
なので、広告で記載されている内容と、実際の内容とに激しく乖離がある場合が多々あり、それが問題になっています。
例えば、事業者は情報商材を売りたいので、「1日30分の作業で、月に10万を稼ぐことができる方法とは」などと、かなり煽るような広告にしていることが一般的です。
ですが、実際に購入してみたら、まったく稼ぐことができない詐欺商材であった、、、みたいなケースがかなりあるみたいです。
・・・で、この情報商材、「クーリングオフ」はできないのか?
結論から言うと、「原則的には、クーリングオフの対象にはなりません」
なぜなら、情報商材の販売は、「通信販売」に該当するからです。
なので、原則的には返品・返金はできないのですが、販売業者側で、「返品制度を採用するかどうか、また、返品に応じる期間、返品送料の負担などについて」を独自に定めているケースはあります。
※もし、「返品」について何も定められていない場合・・・商品の引き渡しを受けた日から8日以内であれば、消費者が送料を負担して返品することができます。
また、販売業者側で「返品・返金は一切不可」と記載があった場合でも、下記二つに該当すれば、返品することができます。
- 不良品(ダウンロードしたファイルが壊れていたり、印刷ミスがあった場合)
- 上述している通り、誇大広告だと認められた場合
二つ目に関しては、線引きが難しく判断しにくい部分なので、まずは「消費生活センター」へ相談してみることをオススメ致します。
以上です。
まとめ
今回の記事では、「クーリングオフ制度」がどのような制度で、有効となる期間や手続き方法について、順に解説してきました。
もし、販売業者側が「クーリングオフ」に応じてくれないなど、何か困ったことがあった場合、まずは「消費生活センター」へ相談してみましょう。