特定商取引法(特商法)

特定商取引法(特商法)とは?特定商取引法に基づく表記(表示)と、規制内容についてまとめてみた

特定商取引法(特商法)とは・・・「特定商取引」に関する法律のことで、訪問販売などにおいて、業者と消費者との間で起こりやすい問題や紛争を回避するために一定の「規制」を定めています。

この規制によって、事業者による違法・悪質な勧誘行為などを防止し、取引の公正性を維持します。
また、「クーリング・オフ」や「契約の中途解除」に関わる規定も定めていて、消費者被害を最小限にとどめる事を目的としています。

※「特定商取引」とは、下記の販売形態を指します。

  • 【訪問販売】:事業者が一般消費者の自宅等へ訪問して、商品(サービス)の販売を行う取引のこと
  • 【通信販売】:新聞や雑誌・インターネット等で広告(PR)し、郵便・電話等で申込みを受ける取引のこと
  • 【電話勧誘販売】:電話で勧誘し、申込みを受ける取引のこと
  • 【連鎖販売取引(マルチ商法やMLM)】:個人を、商品の販売と同時に「販売員」として勧誘し、さらに次の販売員を勧誘させるというかたちで、販売組織を連鎖的に拡大していくことが特徴

※「連鎖販売取引(マルチ商法やMLM)」に関しては、こちらでも解説しています→マルチ商法(連鎖販売取引)の仕組みとは?マルチ商法は、ネズミ講と違って犯罪(違法)ではありません

また、副業などで「ネットショップ」を運営したり、「情報商材」の販売を行なっている場合は、必ず『特定商取引法に基づく表記』が必要です。

※「情報商材」に関しても、平成21年12月に特定商取引法の規制対象となっていて、実際に行政処分が下された事例もあります(詳しくはこちら→東京都公式ページ:誇大広告の情報商材販売事業者等に業務改善指示等)

また、現状「アフィリエイト」に関しては、「特定商取引法に基づく表記」は義務付けられていません。
アフィリエイトは、間接的に商品を紹介するだけで、購入者と直接的に金銭のやりとりを行なっているわけではないからでしょう。

今回の記事では、この「特定商取引法に基づく表記」の設定手順や表記内容についてと、特定商取引法で規制されている内容や、違反となる事例について、順に解説していきます。

以下、目次になります。

  • 「特定商取引法に基づく表記(表示)」の設定手順
  • 特定商取引法(特商法)の規制内容
  • 「特定商取引法(特商法)」に違反してしまう事例

「特定商取引法に基づく表記(表示)」の設定手順

特定商取引法に基づく表記(表示)

上述している通り、ネットショップを運営する場合や情報商材を販売する場合は、「特定商取引法に基づく表記(表示)」が義務付けられています。

そこで当章では、そのポイントや表記すべき内容について順に解説していきます。

※今回は、「ネットショップ」を例にしています。

特定商取引法に基づく表記のポイント

「特定商取引法に基づく表記」は、わかりやすい表現で見つけやすい場所に掲載しましょう。
具体的には、下記3つのポイントを守ります。

  • 「特定商取引法に基づく表記」は、専用のページを1ページ設ける
  • 商品購入ページに、「特定商取引法に基づく表記のページ」へのリンクを設定する
  • トップページに、「特定商取引法に基づく表記のページ」へのリンクを設定する。

「特定商取引法に基づく表記」の書き方とテンプレート(例)

「特定商取引法に基づく表記」として記載すべき項目を、以下にまとめました。

  • 販売価格(税込表記)
  • 「送料」や、購入に付帯する費用(振込手数料・代引き手数料など)
  • 代金の支払い時期と、支払い方法
  • 商品の引き渡し時期
  • 返品に関わる条件。返品条件が記されていない場合には、「商品受取後8日以内に、購入者が送料を負担することによって返品できる」と決められています
  • 事業者(会社)の名称、住所、電話番号、メールアドレスなど
  • 営業時間・問合せ受付時間・休業日など
  • 責任者の氏名
  • 不良品・破損時の対応
  • 販売数量の制限や、その他特別な販売条件があるなら、その内容

以上です。

また、実際に「特定商取引法に基づく表記」を書いていく際は、他のサイト(ネットショップ)を参考にするのが良いでしょう。

下記なんかは、ちゃんとまとまってるので参考になります。

T-SHIRTS TRINITY(Tシャツトリニティ):特定商取引法に基づく表記

特定商取引法(特商法)の規制内容

特定商取引法(特商法) 規制内容

当章では、特定商取引法(特商法)で、どのような事が規制されているのか・・・その一例を下記にまとめました。

  • 商品の価格が、商品価値や市場価格と比べて、異常に高額な場合は違法となる
  • 契約(取引)の締結時には、必ず書面での取引が義務付けられる(証拠を残すため)
  • 広告への一定事項(商品の金額や、販売者の氏名、役務に対しての支払額など)の表示が義務付けられる
  • 誇大広告( ”参加すれば誰でも稼げる” など)の禁止
  • 未承諾者に対しての「電子メール広告」の送信の禁止
  • 不適切な勧誘行為(事実の隠蔽や、不実の告知・威迫行為など)の禁止
  • クーリングオフの設定(訪問販売・電話勧誘販売においては8日間、連鎖販売取引においては20日間が規定され、通信販売についての規定は特に無い)
  • 途中で解約することができる権利の付与によって、一定の条件をクリアすることで、一定額(購入価格の90%相当)の返金を可能とする
  • 執拗な勧誘の禁止
  • 勧誘するときに言った事と、実際の内容が異なっている
  • 「Aさんは10日間で30万稼ぐことができた」など、第三者の体験談を交えての勧誘の禁止

以上です。

上記に挙げている規制内容からも、「特定商取引法(特商法)」が、いかに ”悪徳業者から消費者を守るモノ” であるかが分かりますよね。

「特定商取引法(特商法)」に違反してしまう事例

特定商取引法(特商法) 違反

当章では、具体的に「特定商取引法(特商法)に違反してしまう事例」について、紹介していきます。

  • 【ワンクリック詐欺】

    Webサイト上で、何らかの広告をクリックして、リンクしているページに飛んだ瞬間、いきなり「会員登録ありがとうございました」などと表示されて、入会金を請求される。

    このような広告は、完全に違法となります。
    消費者は、まさか広告をクリックするだけで、お金を請求されるなど考えもしないでしょう。

    これは、明らかな「不実の告知」として規制に引っかかるでしょう。

  • 【虚偽の広告】

    Webサイト上の広告には、「なんと、この商品は無料」などと記載しておきながら、実際には無料ではなかった。
    こちらも、明らかに「虚偽の広告」となるので、違法となります。

  • 【不適切な勧誘行為】

    消費者が取引(契約)を断っているのに、何度も何度も勧誘する行為だったり、
    消費者が「解約」の申し出をしているのに、なかなか解約に応じてくれない、、、

    このような場合は、「不適切な勧誘行為」として規制に引っかかります。

  • 【会社名や、勧誘が目的である事の不告知】

    「連鎖販売取引(マルチ商法)」をする際は、事前に「会社名や、勧誘が目的である事」を告げた上で勧誘行為をしなければなりません。

    なので、例えば化粧品の「連鎖販売取引」において、「毛穴パック良いのがあるから、お試しでどう?」、「毛穴パックの無料モニター探してるから、良かったらどう?」などと告げるだけで、「会社名や、(金銭負担の伴う取引の)勧誘が目的である事」を告げていなかった場合は、これも「特定商取引法」の規制に引っかかります。

  • 【重要事項の不告知】

    例えば、取引(契約)をした場合、毎月5000円の商品を継続して購入していかなければならない。

    このような条件を、契約時に告知していなかった場合、それは「(金銭負担の伴う)重要事項の不告知」として規制に引っかかります。

    普通に考えたらありえない事なんですけどね。悪徳商法にはよくある事だそうです。

以上、「特定商取引法(特商法)」に違反してしまう事例でした。

まとめ

今回の記事では、「特定商取引法に基づく表記」の設定手順や表記内容についてと、特定商取引法で規制されている内容や、違反となる事例について、順に解説してきました。

もし自分や身近な人が、上述している規制事項に引っかかっている「訪問販売」や「連鎖販売取引(マルチ商法)」を受けている場合、「違法」である事を毅然とした態度で訴えて、それでも解決しないなら「消費生活センター」に相談してみてください。

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