単純接触効果とは・・・認知心理学の一つであり、人は、何かしらの対象物と繰り返し接することで、警戒心が薄れ、好意度が増していくという法則のことです。
※「認知心理学」とは、人間の認知活動(見る,聞く,覚える,考えるなど)について研究する心理学の一分野です。
ザイアンスという方が、この法則を編み出したため、別名「ザイアンスの法則」とも呼ばれています。
「単純接触効果」は、誰しもが日頃から影響を受けていることで、例えば学校や会社などで、初めましてな場面。
初対面では、「この人、どんな人なんだろ、、」と警戒心が、少なからずありますよね。
でも、同じ部屋で2、3日過ごせば、警戒心が消え、その人と打ち解けてる経験は何度もあると思います。
また、同じ音楽を何回も聞くことによって、どんどん好意度が増していったり、同じタレントをテレビ番組やCMなどで繰り返し見ていった時も、好意度が増してる経験があると思います。
これは、すべて「単純接触効果」の影響なのです。
ザイアンス氏は、この法則を導き出したとき、下記のような実験をおこなったそうです。
ザイアンス氏は、トルコ語を知らない実験参加者に、トルコ語の単語を異なる回数(0回、1回、2回、5回、10回、25回)提示し、単語に対する好ましさを「良い」~「悪い」までの「7」段階で評価させる実験をおこなった。
そして実験の結果、提示回数が多い単語ほど、好意度が高まる結果となった。
また、後続の研究において「トルコ語」だけでなく、漢字、顔、名前、写真、音、絵画など、様々なタイプで同じ結果が確認されている。
上記からも、様々な情報に置いて「単純接触効果(ザイアンスの法則)」が存在することを示しています。
当記事では、この「単純接触効果(ザイアンスの法則)」について、人間関係の構築に活かす際の注意点と、文章作成に活かす手順について順に解説していきます。
以下、目次になります。
- 単純接触効果(ザイアンスの法則)を、人間関係の構築に活かす際の注意点
- 単純接触効果(ザイアンスの法則)を、文章作成に活かす手順
単純接触効果(ザイアンスの法則)を、人間関係の構築に活かす際の注意点
上述している通り、人は同じ人と繰り返し接していくことで「警戒心」が消えていきます。
ですが、会えば会うほど「関係が親しくなる」という事ではありません。
例えば、学生時代を思い返してください。
同じクラスで毎日同じ部屋にいるのに、そんなに話したことのない人って必ずいますよね。
逆に、同じクラスじゃなく会う頻度は少ないのに、親友的な友達はいると思います。
これは、なぜか・・・
それは、警戒心が消えることと、仲良くなることは「イコール」ではないからです。
また、一点注意しなけれならならない事として、「単純接触効果(ザイアンスの法則)」は
「好き嫌い」という感情が生じる前段階で、有効な法則であって、もともと相手の事が嫌いであった場合は、いくら接触回数を増やしても、好意度は上がりません。
なので、嫌われている異性に対して接触回数を増やす試みをしても、単なるストーカーになるだけなので、注意してください。
※「嫌い」という感情から「好き」という感情に転じるときは、今まで抱いていた相手への印象に対してギャップが生まれた時や、何かしらの場面で「助けられた」等の恩を受けて、感情は変化します。
このときの感情の変化は、単純接触効果(ザイアンスの法則)とは違った「心理現象」となります。
単純接触効果(ザイアンスの法則)を、文章作成に活かす手順
冒頭で、ザイアンス氏の実験について紹介しましたが、
人は、単語や文章についても「単純接触効果(ザイアンスの法則)」を受けています。
この最たる例が「テレビコマーシャル」になります。
同じ時間帯に、何度も同じCMを流すのは、視聴者の「単純接触効果」を狙っての事です。
同じコマーシャルを流し、同じメッセージを提示すればするほど、視聴者はそのコマーシャルで出てくるキャラクターや、キャッチコピーに対して「好意」を持ちます。
それが、会社やサービスへの好意につながり、「購入」へと至るのです。
例を出すと、
ソフトバンクのキャラクターである「白戸家」であったり、ファミリマートのキャッチコピーである「あなたとコンビニ、ファミリーマート♪」
テレビを観てる方なら、知らない方はいないでしょう。
一昔前、ソフトバンクの「CM」で、初めて白戸家のお父さんである「犬」を見たときは、だれもが様々な疑問を抱いたでしょう。
「なんで犬なんだ、、、」と
ですが、今ではそれが当たり前になっていて、何の疑問も抱かないし、ソフトバンクCMのメインキャラクターとして定着し、どこか憎めないキャラで「愛くるしさ」さえ感じるようになっています。
このようにキャラクターやキャッチコピーを固定化させて、何度も広告として出すのは、「単純接触効果」を狙っての広告戦略なのです。
なので文章も、書き手が「単純接触効果(ザイアンスの法則)」を意識して書いていく事で、読み手の「文章に対する好意度」を上げ、説得力を高めることができます。
具体的にいうと、書き手が「最も伝えたい主張」を繰り返し主張することで、読み手は、次第に「その主張」を受け入れていきます。
ブログ記事やビジネス文書では、一番最初(主題)に「最も伝えたい主張」を設定するのが、適切な文章構成です(詳しくは、こちらで解説しています→文章構成を3つに分類する事で、「ビジネス文書」や「ブログ記事」用に最適化してみた)
なので、主題に設定した「読者に最も伝えたい主張」を、他の部分でも提示する事で、読者が「その主張」を再認識するキッカケになり、それが「単純接触効果」につながります。
特に、結論部分で提示する事で、終始一貫した「文章」にもなリ、説得力が増します。
当ブログでも、記事を書く際は「主題(タイトル)」の内容を、結論部分でも繰り返し主張するようにしています。
以下、当記事の主題と結論部分になります。
※説得力のある文章を書くための手順やポイントについては、「単純接触効果」以外にも様々な要素があります。
それらについては、下記にまとめていますので、ぜひ参考にしてください。
・文章力(説得力)を向上させるためにやっておくべき「13の基本」についてまとめてみた
まとめ
今回の記事では、「単純接触効果(ザイアンスの法則)」について、人間関係の構築に活かす際の注意点と、文章作成に活かす手順について、解説してきました。
上述している通り、「単純接触効果(ザイアンスの法則)」は様々な場面で活用することができる心理学になります。
特に、広告関連の仕事をしている方や、ブログなどのメディアを運営している方は、活かせる機会が多いと思うので、意識するようにしましょう。