ブランディングとは・・・企業が、自社や商品(サービス)に対しての、顧客にとって価値のあるブランド(信頼性や共感など)を構築するための活動を意味し、
ブランドの特徴や、競合する企業・製品との違いを明確に提示することで、顧客の興味・関心を高め、企業にとってメリットのある行動(購買など)を促進することが目的になります。
「ブランド」とは、言い換えれば、企業や商品に対しての『顧客の頭の中に形成されるイメージ』となり、それは無形の資産となり、非常に重要な「企業価値」となります。
また、企業や団体ではなく、1人の人物にフォーカスしたブランディングの事を、「セルフブランディング」と呼びます。
今回の記事では、個人・法人問わず、「ブランディング」の必要性やメリットについて。
また、ブランドを効果的に形成する手段である「ブログ運営」や「デザイン」についても、順に解説していきます。
以下、目次になります。
- ブランディングの必要性とメリットについて
- ブランディングには「ブログ」が効果的!企業(会社)や自分(セルフ)のブランドイメージ戦略(手法)
- ブランディングには「デザイン」も重要
- 企業のリブランディング事例
- 企業のブランディング事例
ブランディングの必要性とメリットについて
昨今の市場を「需要と供給」で表すと、圧倒的に「供給側」が満ちている状態になります。
供給側が多くなることで、商品(サービス)の機能や性能での差別化が厳しくなり、低価格競争へと陥りがちです。
ですが、低価格で販売するという事は、それだけ利益が圧迫され、厳しい経営状態となってしまうでしょう。
そこで、重要なってくるのが「企業(商品)のブランディング」なのです。
マーケティングの世界では、権威者の一人である「フィリップ・コトラー」も、
”ブランドは、価格競争を避けるうえで、大きな枠割を果たす” と述べています。
例えば、
「無名ブランドの180万円の車」
機能や性能は、全く一緒だった場合、あなたはどちらを購入するでしょうか?
おそらく、ほとんどの方が「TOYOTA」の車を買うと思います。
価格的には、無名ブランドの方が安いにも関わらずです。
これが、「ブランディング」の効果です。
上記のように、強大なブランドというのは、無名ブランドと比べて、「信頼」、「安心」、さらに「高品質」のイメージを生み、それが「差別化要素」となって、価格競争から逃れる事ができ、長期的に競争で生き残っていくために欠かせない価値となるのです。
では、ブランディングがもたらすメリットについて、以下にまとめてみました。
- 【認知度の向上】 : ブランドイメージが確立されていれば、人が購入を検討するさい、(商品の)同一カテゴリの中から、一番目に想起してもらえ、無意識的に購入へと繋がります
- 【競合他社との差別化要素となる】 : ブランドイメージが確立されていれば、それだけで、その商品に対して「信頼性」や「品質の良さ」を示すことができ、それが「差別化要素」となります
- 【ロイヤリティが向上し、継続的な購買につながる】 : 過去に、ある特定のブランドを購入し満足感を得ることで、人は、同じカテゴリの商品を購入する際、無意識に、そのブランドをリピート購入する傾向にあります
- 【低価格競争からの脱却】 : 上述している通り、仮に、機能・性能が同じ競合商品があっても「ブランド」という付加価値が高いほうを、人は選びます。それは結果的に、「低価格競争からの脱却」を意味します
- 【プロモーション・コストの低減】 : 企業や商品が既に認知されていて、「ブランド」が形成されている場合、プロモーションをおこなわなくても、人は勝手にその商品を選択してくれます
以上、ブランディングがもたらす5つのメリットでした。
ブランディングには「ブログ」が効果的!企業(会社)や自分(セルフ)のブランドイメージ戦略(手法)
先ほど、「ブランド」とは、企業や商品に対しての『顧客の頭の中に形成されるイメージ』と定義しました。
一昔前までは、人が、何かしらの商品や企業に対してのイメージを持つのは、TVや新聞・雑誌などで、企業側から一方的に発信される情報のみでした。
それが、インターネットが主流となり、検索エンジンやソーシャルメディアが発展したことで、人々は、自ら「企業や商品に対しての情報」を取得できるようになったのです。
そして、従来のTVや新聞・雑誌といった一方的な情報よりも、インターネット上にある様々な情報を、重要視する傾向にあります。
また、人々の購買行動プロセスも、インターネットが主流となった事で激変し、
「人は、何かしらの商品(サービス)を購入するまえに、事前に検索エンジンを利用して、その商品情報を調べている」
こういったプロセスが加わりました。
詳しくは、下記にて解説しています。
・AIDMA(アイドマ)・AISAS(アイサス)の法則とは?購買行動モデル(理論)に最適化するポイントについて
そこで、昨今では、インターネット上で「ブランディング」や「マーケティング」をおこなう試みが注目されています。
「インバウンドマーケティング」や「オウンドメディア・マーケティング」といった施策も、これに該当するでしょう。
企業ブランディング・セルフブランディング問わず、インターネット上で「Webサイト(ブログ)」を公開して、ターゲットとする消費者に有益となるコンテンツを提供していくことによって、自社(自分)の「ブランドイメージ」を形成していくのです。
以下に、例を挙げましょう。
育毛関連の商品を販売している「A社」という会社があったとします。
「A社」は、インターネット上に、「髪の悩み.com」というサイトを公開し、自社商品の紹介とともに、髪の悩みを持った人を対象に、有益となるコンテンツを日々配信していました。
一方、最近、薄毛に悩んでいる一人のおじさんが居たとします。
ただ、薄毛対策として何をやれば良いかは、チンプンカンプンな、このおじさん。
そこで、Googleを利用して「薄毛対策」と検索しました。
すると、検索上位に「A社のサイト」が表示されました。
おじさんは、このサイトを見たところ、非常に分かりやすく、丁寧に情報がまとめられていて、実体験なども記載されていたので、非常に役に立ちました。
このサイトでは、シャンプーを「薄毛対策用のモノ」に替える事が、最も効果的と述べられていたので、
次に、再度Googleで、「薄毛 シャンプー」と検索したところ、またもや上位に「A社のサイト」が表示されていました。
おじさんは、再度そのサイトに訪れ、ページを見ていったところ、今回も非常に有益と感じました。
そして、”このサイトは非常に役に立つ情報が多い” と信頼感を覚え、しばらくそのサイトにあるページを回遊し、
結果的に、おじさんは、「A社の育毛シャンプー」を購入することにしました。
その後も、定期的にそのサイトを訪れて、追加されているコンテンツを確認しては、新たな商品などが紹介されてると、購入へと至る「優良客」へとなっていったのです。
これが、Webサイト(ブログ)を活用した「ブランディング」の効果になります。
上記の例に出てくる「おじさん」は、Web上にある有益なコンテンツがきっかけとなり、そのコンテンツを配信している企業に対しても「信頼感」を覚えます。
そして、この「信頼感」が他社との差別化となり、おじさんの頭の中では、「育毛関連の商品なら、A社」といったブランドイメージが形成されるのです。
結果、おじさんは、「A社」から育毛商品を購入し、その後も「A社のサイト」を定期的に訪れ、リピート客へとなっていったのです。
このように、Web上にて、有益なコンテンツを継続的に配信していくことで、サイト全体が「ブランディング」され、そのブランドイメージが、消費者にとっては、他社との差別化につながり、ビジネスに大きく貢献していくのです。
では、具体的な「ブランドイメージを形成するWebサイト(ブログ)」の構築ですが、以下3つがポイントになります。
-
【自社独自のサイト(ブログ)を作成する】
ここでいう「自社独自のサイト」というのは、「独自ドメイン」のサイトの事を指します。
なので当然、アメブロやライブドア・ブログといったブログサービスではありません。
また、「サーバー」も用意する必要があります(最初は、レンタルサーバーで良いでしょう)
独自ドメインや、(レンタル)サーバーについて、詳しくは、下記記事にて解説しているので、参考にしてください。
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【配信するコンテンツは、こだわる】
Web上で、ブランドを形成するのに、最も重要なポイントは、「コンテンツ」になります。
そして、コンテンツの条件は、「ターゲットとする消費者に有益となる情報」であることです。
コンテンツの質が悪ければ、そもそもサイトに人が集まりませんし、仮に集まったとしても、「信頼性が上がり、他社との差別化になるようなブランドイメージ」には、到底なりえません。
なので、「コンテンツ」は、最も重要かつ根源的なポイントだと理解しておいてください。
コンテンツの作成ポイントについては、下記にて解説しています。
・コンテンツ(contents)とは?検索エンジンとユーザー双方に最適化したコンテンツ作成手順をまとめてみた
また、注意しなければならないのが、手っ取り早くアクセスを集めたいがために、ソーシャルメディアでのバズを狙う手法。
この手法自体は、非常に有効なのですが、問題はコンテンツの内容です。
一般的にバズが起きやすいネタというのは、「お笑い系のネタコンテンツ」です。
ですが、単なるソーシャルメディアでバズを起こしたいがために、このような「ネタコンテンツ」を投下するのは、危険であり本質を見失ってます。
ブランドイメージを構築するメディア運営で重要なのは、あくまで「ターゲットとする消費者にとって有益となるコンテンツ」の配信です。
それが、急に「お笑い系のネタコンテンツ」が投入され、広くバズった場合。
下手したら、その企業(製品)のブランドを長期的に汚すリスクがあり、今まで積み上げてきたブランドイメージが一瞬で粉々になってしまう可能性があります。
見せ方によっては、「面白い事もできる、余裕のある企業さんなんだ」といったイメージを持たれる事もあるので、「お笑い系のネタコンテンツ」が絶対にいけない訳ではないですが、少なくとも扱い方には注意するようにしてください。
最優先とするのは、あくまで「ブランドイメージ」だということです。
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【アクセスアップ施策を、施す】
ブランドイメージを形成しようにも、そもそもWebサイト上に人が集まらなければ、元も子もありません。
特に、Web上にサイトを公開する初期の頃というのは、言ってみれば、「誰も来ないような山の中に、店を構える」ようなものです。
なので、Webサイト(ブログ)を公開したら、質の高いコンテンツを発信していくのと同時に、アクセスを集める施策をおこなっていく事も重要です。
具体的な施策内容については、下記記事にてまとめています。
以上、「ブランドイメージを形成するWebサイト(ブログ)」を構築するさいの、3つのポイントでした。
ブランディングには「デザイン」も重要!企業(会社)や自分(セルフ)のブランドイメージ戦略(手法)
ブランドイメージを形成するうえで、視覚的な要素である「デザイン」も非常に重要な要素になります。
デザインは、ただ見た目をよくレイアウトすれば良いわけではなく、「ブランドイメージ」と一貫性をもったデザインにしなければなりません。
要は、「その会社(商品)らしさ」を示すデザインである必要があるのです。
ロゴ、ホームページ、チラシ、会社案内、CMなど、企業から発信する様々なコンテンツやモノは、「その会社(商品)らしさ」を示したもので、一貫されなければならないのです。
また、業界ごとにも「その業界らしさ」といったデザインパターンがあります。
例えば、ホームページをパッと見たときに「何屋さんなのか・・」をすぐに判断できるようなデザインにすることも、ブランディングを意識したサイト運営をする上では、重要なポイントです。
そこで、各業界ごとに最適化されたデザインパターンが、下記記事にてまとめられているので、ぜひ参考にしてみてください。
また、ブランドイメージを考えるうえで、「色」も非常に重要な要素です。
この世に存在するモノには、必ず「色」が付いていて、人の視覚を通して、見る人の心理に少なからず影響しています。
例えば、「信号」
信号が「赤」になったら、みんな止まりますよね。
では、そもそもなぜ「赤」が ”止まれ” なのでしょうか?
これは、「赤色」には注意喚起をうながす効果があるからです。
人は、「赤色」をみることで、無意識的に「注意」・「注目」しているんですね。
なので、「赤で渡っちゃうと、重大な事故に発展するような危険性が有りますよ。なので止まってください」と効果的に注意喚起することができるのです。
このように、「色」によって、人は、何かしらのイメージを感じ取っているんですね。
なので、当然「ブランドイメージ」を考える際も、「色」の考慮は欠かせません。
ブランドイメージに合った「色」の使用が必要なのです。
※「色」が人々に与える影響については、下記記事にてまとめているので、ぜひ参考にしてください。
・色(カラー)が人の心理に与える印象(イメージ効果)と、好きな色で分かる人間の性格について診断してみた
企業(会社)のリブランディング事例
リブランディングとは・・・ブランドイメージの再構築のことです。
企業のビジネス戦略と、市場(消費者)との間でミスマッチが起こると、ブランドは危機に陥ります。
そこで、ブランドの方向性を修正し、再活性化させることが「リブランディング」になります。
具体的には、下記のような項目が、「リブランディング」のポイントになります。
- 商品やサービスの改善、又は変更
- コーポレートサイトや、Twitte・Facebookの公式アカウントのリニューアル
- ターゲットとする消費者へのアプローチの改善、又はターゲット層の変更
- 企業文化や風土の改善
今回は、「ビッグブルー」と呼ばれる巨大ブランド:「IBM」のリブランディング事例について、解説していきます。
当時、90年代初めの「IBM」は業績が低迷し、1993年には、ついに3年連続で赤字を計上するに至りました。
この事態に、同社会長に就任した「ルイス・ガースナー」は、従来のビジョンを否定し、徹底した顧客志向(マーケット志向)を打ち出しました。
ビジネス構造としては、従来のハードウエア偏重から脱却し、ソリューションプロバイダーとしてサービス中心の企業に生まれ変わることが志向され、
ターゲット市場についても、従来はパソコンなどの「B to C 市場」にも片足を入れていたが、より自社の高い技術力が生かせ、付加価値を高めることができる「B to B 市場」にフォーカスすることが明確化されました。
ブランドイメージについても、従来の「固く、取り付きにくい会社」から、「最先端技術・高品質・信頼・問題解決能力」と設定し、市場や顧客が求めているものに柔軟に対応し、危機を乗り越えたのです。
参考元:日本ブランド戦略研究所:リポジショニング-IBMのブランド戦略
以上です。
企業(会社)のブランディング事例
世界最大手の広告会社であるイギリスの『WPPグループ』が行った「ブランド価値ランキング2013」によると、グーグルやマイクロソフト、マクドナルドなどを差しおいて、『アップル』が前年に引き続き、世界1位の座を維持しました。
アップルには、パソコンはMac、携帯はiPhone、音楽はiPodと、Apple製品しか買わない熱狂的信者が多数存在します。
これは、単に製品のデザインや機能・性能が良いといった事ではなく、非常に良く考え抜かれたブランディング戦略の成果なのです。
『エモーショナルブランディング』の著者で、マーケティングの専門家「マーク・ゴーベ氏」は、下記のように同社を語っています。
「ブランドがなかったら、アップル社は存続していなかっただろう。それは間違いない。彼らにはブランドしかない。彼らはブランド力のみで生き延びているのだ。製品とは何の関係もない」
当章では、具体的なアップルのブランディング戦略の内容について、順に解説していきます。
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【製品の使い方を、よりシンプルに。より分かりやすく】
アップルは、使い方が分かりやすく、シンプルなデザインである製品を、徹底的にこだわっています。
どのようなデザイン・どのような使用手順にすれば、消費者がより簡単に分かりやすく製品を利用できるかを、綿密にリサーチ・企画・制作していくことで、結果として高い顧客満足度を生み出す「シンプルな製品」を世に送りだしているのです。
また、アップルは、全ての製品に対して、デザイン・操作性に一貫性を持たせています。
そのため、どれか一つの製品の操作性に慣れてしまえば、その他のアップル製品でも違和感なく、使いこなせるようにできています。こうすることで、アップルの新しい製品にも適応しやすくなり、反復して購入しやすくなるという仕組みが成り立ちます。
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【専門の販売店「アップルストア」を作った】
アップル製品のブランドデザインと一貫したアップルストアの外観。
街を歩いていても、「アップルストア」を見かけたら、それがすぐにアップルの販売店であることを認識でき、店内に入ることで、電気量販店にはない「上質なユーザー体験」を感じることができます。
アップルはこれまで、商品知識の不十分な電気量販店の店員に対して、自社製品の魅力を十分に顧客に伝えることができていないと、不満を抱いていました。
これを解決するために「アップルストア」が誕生したのです。
アップルストアでは、店舗デザインから空間演出、接客員の質まで、徹底的にこだわっており、訪れた客に対して、「よりよい体験をしてもらおう」と心がけているわけです。
これも、アップルブランドのイメージに寄与している1つの要因になっているんですね。
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【とにかく、クール(カッコイイ)な製品にこだわる】
アップル製品は、いずれもパッケージから入念にデザインされており、それはユーザーインターフェースにまで至ります。
シンプルな色やアイコン、なめらかな外装などはそれらを操作したり見たりする度に、アップル製品を使っている顧客を魅了します。
また、アップル製品を使っているユーザーは、独自のプライドを持っていていて、Macを使う人はスマートで洗練されており、かっこいい人であるというイメージが根付きました。
一方で、Windowsユーザーは、「ださくて、つまらなくて、古い」といったようなイメージが、アメリカを中心に、広く浸透していきました。
このように利用者のエモーショナルな部分まで含めて、アップルのブランドイメージは確固たるモノとなっているのです。
以上、アップルの3つのブランディング戦略でした。
参考元:GIGAZINE:Appleが熱狂的信者を作るために使った12のブランド戦略
まとめ
「広告業界の寵児」と形容される「ジャン・マリー・ドルー氏」は、下記のように述べています。
”製品には寿命があるが、ブランドは、うまくやれば永遠に存続できる” と。
ブランドというのは、長期に渡って企業の「最重要資産」となり、ブランドイメージは、企業の長期的な存続、競争優位性のもっとも大切な要因なのです。