インバウンド(inbound)マーケティングとは・・・自社のWebサイト(ブログ)やソーシャルメディア上で、消費者にとって「有益となる情報」を継続的に提供し続けることで、自社の事を認知してもらい、
さらに、無料レポート(PDF)やメルマガといったメディアで、「訪問者」→「見込み客」→「顧客(購入者)」→「リピーター・プロモーター」へと、段階的に教育していくための仕組みを、「インバウンド(inbound)マーケティング」と呼びます。
また、別の呼び名として「コンテンツ・マーケティング」とも呼ばれています。
この、「インバウンド・マーケティング」ですが、日本でも年々、必要性が増してきていて、それを示しているのが、下図のデータ(指標)になります。
そこで、今回の記事では、従来のアウトバウンドマーケティング(TVや新聞・雑誌などの広告)との違いや、インバウンドマーケティングの具体的な仕組みや施策について。
また、実際の企業での事例なども紹介していきます。
以下、目次になります。
- アウトバウンド(outbound)マーケティングと、インバウンド(inbound)マーケティングの違いについて
- インバウンド(コンテンツ)マーケティングの仕組みとは?SEOやソーシャルメディア(FacebookやTwitter)に非常に相性が良い理由
- 高広伯彦氏(株式会社マーケティングエンジン:CEO)主催の、日本初インバウンド(コンテンツ)マーケティング・カンファレンス
- BtoBの会社(企業)が読んでおくべき、ガイアックスの「インバウンドマーケティング・ブログ」
- 会社(企業)がWeb戦略を立案するさい、参考にすべき「インバウンドマーケティング事例」
アウトバウンド(outbound)マーケティングと、インバウンド(inbound)マーケティングの違いについて
インターネットが出来る前の、従来のマーケティング手法は、TVや新聞・雑誌広告といった「プッシュ型」の戦略で、企業から消費者に対して、「一方向」にコミュニケーションがとられてきました。
情報発信のタイミングも、新商品の発売時やキャンペーン期間など、企業側のタイミングで、情報が発信され、それを消費者が受け取るといった形態でした。
これが、いわゆる「アウトバウンド・マーケティング」になります。
一方、「インバウンドマーケティング」とは、逆に消費者が、自ら情報を取りにいくのが特徴で、タイミングも完全に消費者の都合で、何らかの情報を知りたい・調べたいと思った時になります。
「インバウンドマーケティング」が注目されだした背景には、インターネットが主流となり、「検索エンジン」や「ソーシャルメディア」といった、消費者が自ら情報を取得できるメディアが発展してきたことにあります。
このような、「消費者の情報取得プロセス」が大きく変更したことにより、企業側は、消費者にとって有益となるコンテンツを、「自社サイト(ブログ)」として、インターネット上に用意しておくといった「大きな流れ」が今、起きているのです。
インバウンド(コンテンツ)マーケティングの仕組みとは?SEOやソーシャルメディア(FacebookやTwitter)に非常に相性が良い理由
当章では、インバウンド(inbound)マーケティングの仕組みについて、具体的に解説していきたいと思います。
当章を読んでいくことで、「いかに、インバウンド(コンテンツ)マーケティングにおいて、SEOやソーシャルメディア(FacebookやTwitter)が重要性を持つのか・・・」も理解することができるでしょう。
まず、インバウンド(inbound)マーケティングですが、こちらは大きく4つのプロセスに分けることができます(以下)
- 集客段階
- 教育段階
- クロージング段階
- アフターフォロー段階
では、順に解説していきましょう。
1、集客段階
集客段階では、消費者に「自社サイト(ブログ)」へ訪れてもらう段階になり、以下2つのチャネルを通して、「訪問」を促していきます。
・TwitterやFacebookなどの、ソーシャルメディア
ここで重要なのが、インバウンドマーケティングのキモである「消費者にとって有益となるコンテンツ」を、サイト(ブログ)上で、継続的に発信することです。
また、上記でも特に重視すべきなのが、「検索エンジン」からの集客です。
なぜなら、検索エンジンからの流入は、ソーシャルメディアとは違い、自分で検索窓にキーワードを入力して訪れるため、目的意識の強いアクセスだからです。
また、ソーシャルメディアからの流入は、一過性のモノに対して、検索エンジンは、上位に表示されている限り、毎月安定したアクセスを期待できます。
そのために、検索エンジン上で上位表示するための施策である「SEO」が重要なんですね。
SEOですべき事や、コンテンツの作成ポイントについては、下記記事にてまとめていますので、ぜひ見ておいてください。
・SEO対策とは
・コンテンツ(contents)とは?検索エンジンとユーザー双方に最適化したコンテンツ作成手順をまとめてみた
2、教育段階
「教育段階」は、Webサイトに集客してきた ”ただの訪問者” を、”見込み客” へ教育していく段階です。
具体的には、下記2つのステップを経て、「見込み客」へと教育していきます。
-
Webサイト上に公開しているコンテンツよりも、さらに有益かつ体系立てられたコンテンツ(無料レポート・ノウハウガイド)を提供し、訪問者から対価としてメールアドレスを登録していただく。
こちらは、「リスト(メールアドレス)」を取得するためのステップになります。
単なる訪問者に「メールアドレス」を登録してもらうためには、その対価として「有益かつ体系立てられたコンテンツ(無料レポート・ノウハウガイド)」を用意しておく必要があります。
ただ、難しく考えることはありません。
読む人にとって、有益かつ分かりやすくまとめられているコンテンツで、Web上にあるコンテンツよりも、さらに豊富なコンテンツ量となっていれば、問題ありません。
ただ、1つ注意点としては、後に販売する「メイン商品」に関連する情報であることです(メイン商品自体の情報ではありません)
例えば、本当に売りたい商品が、「Webマーケティングのコンサルティング」であれば、ここでは、Webマーケティングに関連する情報(SEOノウハウや、ソーシャルメディアを活用した集客ノウハウなど)にしましょう。
また、メールアドレスを登録する「ランディングページ」と、ランディングページへリンクする「CTA」の用意もしておく必要があります。
ここでの「ランディングページ」に必要な項目は、以下の4つになります。
1:【キャッチコピー】 : 無料レポートを読むことによる「ベネフィット」が伝わるものにします。2:【アイキャッチ画像】 : 無料レポートを表した画像を用意しましょう。
3:【ボディコピー(本文)】 : キャッチコピーでは伝えきれない具体的な「メリット」を簡潔にまとめましょう。
4:【登録フォーム】 : メールアドレスなどの登録フォームを用意します。なるべく入力項目は少なく設定してください。
1つ、「例」を出した方が分かりやすいと思いますので、バズ部さんの「リスト取得用ランディングページ」を紹介します(以下)
以上です。
※従来のランディングページの役目は、商品の購入を促すものが一般的でした。
要は、「購入を検討している消費者」だけがターゲットだったのです。ただ、それだと、企業の売上・利益を考えた時に、大きな機会損失をしている可能性が「大」です。
例えば、商品購入を促すランディングページで、コンバージョン率が5%の場合、残りの95%は取りこぼしていることになります。
ここで問題なのが、この95%の中に、「購入するか検討しているが、もうちょっと検討材料(情報)がほしいから、今回は購入しない」といった見込み客が存在している可能性が「大」ということです。
せっかく、検討段階まで来ていて、あと少し購買意欲を高めるようなコンテンツを発信すれば、購入に至るとか、消費者の中で必要性は感じてるが、まだタイミング的に違う。といった「タイミングの問題」であるケースも往々にしてあります。
このような見込み客を、みすみす逃してしまうのは、非常に機械損失であり、勿体ないでしょう。
なので、「見込み客」を取りこぼさないように、いきなり「購入」を促すのではなく、まずは、「リスト(メールアドレス)」を取得して、「教育」をおこなう段階を踏むのです。
-
メルアドの登録者に対して、メルマガという形で、定期的に有益となる情報を配信していく。
上記で、メールアドレスを登録して、無料レポートに有益性を感じた時点で、その人は既に「見込み客」になります。
ここでは、見込み客となった人が、さらに購買意欲を高めるように、メルマガのコンテンツを7通ほど用意して、1週間前後で配信していきます。
メルマガの内容は、売りたい商品に関連している有益な情報、商品のベネフィットや必要性について。
さらに、商品の実績や、競合商品との違い(主に、費用対効果が高いことが効果的です)について、配信していきましょう。
以上です。
この2つのステップを通して、「見込み客」へと教育し、さらに購買意欲を高めて「クロージング」へと繋げていきます。
3、クロージング段階
前段の「教育段階」によって、購買意欲を高めた「見込み客」へとなっているので、クロージングはあと一歩になります。
具体的にやることは、メルマガから、「商品購入のランディングページ」へと促し、購入へと持っていきます。
なので、今度は「商品購入のための、ランディングページ」を用意してく必要があります。
今回は、前段で作った「リスト取得のためのランディングページ」に比べて、かなり情報量が豊富な、縦長のページになります。
それは、消費者の立場に立てば分かりますが、「メールアドレス」を入力するケースと、クレジットカードなどの情報を入力して、実際に商品を購入するケース。
どちらが、ハードルが高いと思いますか?
当然、後者ですよね。全然ハードルが違うと思います。
なので、その分、ランディングページの情報量も、多くなってしまうんですね。
「商品購入のための、ランディングページ」の作成ポイントについては、下記記事にて解説していますので、ぜひ参考にしてください。
・ランディングページとは?landing pageの作り方(制作手順)と、LPO対策で重要な8つのポイントをまとめてみた
以上です。
4、アフターフォロー段階
インバウンド・マーケティングは、クロージングして終わりではありません。アフターフォローも非常に重要な要素です。
クロージング後も、引き続き「顧客」の質問に答えたり、役に立つ情報を提供し続ける事で、ロイヤリティを上げるよう努めてください。
そうすることで、「顧客」は、再購入や商品情報の拡散といった ”売り手側にメリットのある行動” をとってくれるようになります。
以上、「インバウンド(inbound)マーケティング」の4つのステップでした。
インバウンドマーケティングでは、このように「各ステップに適したメディアと情報」というのがあります。
重要なのは、「最適なタイミングに、最適なメディアで、最適な情報を届ける事」です。
これを間違ってしまうと、どれだけ良質なコンテンツだとしても、ユーザーから煙たがられ嫌悪感を与えてしまうでしょう。当然、売上にはつながりません。
例えば、今、この記事をお読みのあなたは、何かしら「インバウンドマーケティング」の事が知りたくて、又は興味・関心があって、読んでいるのだと思います。
当然、この段階で、あなたは当社のサービスに興味があるわけではありません。というか、知りもしないですよね。
あくまで、この記事を読んでいるのは、「インバウンド・マーケティング」に関して有益な情報がありそうだからだと思います。
しかし、もしこの記事が、単なる「当社サービスの売り込み記事」だった場合、あなたはすぐにこのページから離脱してしまうでしょう。
もしかしたら、将来のあなたは、当社の「見込み客」となって、ゆくゆくは「顧客」になっているかもしれないのに、、、
しかるべきステップを踏んでいかないと、このように、みすみす将来の「顧客候補」を逃してしまう損失になってしまうのです。
なので、「最適なタイミングに、最適なメディアで、最適な情報を届ける事」が重要なんですね。
高広伯彦氏(株式会社マーケティングエンジン:CEO)主催の、日本初インバウンド(コンテンツ)マーケティング・カンファレンス
先日、東京の恵比寿ガーデンプレイスにて「INBOUND MKTG 2013」が開催されました。
こちらは、日本初となる「インバウンド(コンテンツ)マーケティング」に関するカンファレンスになっており、
著書『インバウンドマーケティング』など、業界内では、非常に著名な高広伯彦氏が主催するカンファレンスになっております。
このカンファレンスについて、実際に参加した「CONTENT MARKETINGLAB編集部」さんにて、レビューがまとめられています(下記)
・CONTENT MARKETINGLAB : 高広伯彦氏が提唱する、インバウンドマーケターに求められる ”これからのマインドセット” とは?
上記にて、参考になる点がいくつかあったので、当章では、この中から「2点」ほどピックアップして、紹介したいと思います。
-
【商品の販売に際して、トライアル版 or 無料版を提供する考え方について】
消費者の購買行動は、今、劇的な変化が起きています。
例えば、何らかの「ソフトウェア」を購入する際、昔は店頭で説明を受けて、パッケージを購入し、その都度インストールしていくのが主流でした。一方、最近では、30日間のトライアル版を試用したり、機能限定の無料版を試用したうえで、気に入ったら有料版にアップグレードするといった販売手法が増えてきています。
こんな購入の仕方、昔はありえませんでした。
インバウンド(コンテンツ)マーケティングにおいても、この考え方は応用できます。
ソフトウェアの販売であれば、上記同様「トライアル版」or「無料版」を介して販売していくといった事ができますし、
例えば、エステ店の集客であれば、初回限定で、低価格で「脱毛」などのサービスを提供し、メインのサービスへと流していく。
または、エステに関する有益となる情報や、体験事例などをまとめた「無料レポート(E-books)」を提供してリストを集めていき、徐々に購買意欲を高めて、メインのサービスへと流していく。このように、「トライアル版 or 無料版を提供する考え方」は、「インバウンド(コンテンツ)マーケティング」でも、非常に有用なのです。
-
【パブリッシャーとして、コンテンツを発信していく】
上述している通り、インバウンドマーケティングにおいて、最も重要な要素は「コンテンツ」です。
インターネット上のコンテンツの重要性について、イギリスの社会学者である「David Gauntlett氏」は、
・「Making is Connecting = コンテンツを作ることは、つながること」
・「あなたがインターネット上で書くことは、あなた自身を表す」と提唱しています。
コンテンツを作っていくという事は、コンテンツ自体に価値を持つのは当然で、もう一つ、その執筆者やサイト全体に価値を生みます。
それは、有益となるコンテンツを作っていくことで、徐々に、執筆者やサイト全体にブランドが形成されていくからです。
そのブランドが、消費者との信頼関係をうみ、他社との差別化要素にもなるんですね。
なので、これからのマーケッターは、データを見て戦略を立てるだけじゃなく、自身がパブリッシャーとなってコンテンツを発信していくことが求められてくるでしょう。
以上です。
BtoBの会社(企業)が読んでおくべき、ガイアックスの「インバウンドマーケティング・ブログ」
「B to B」とは・・・「Business to Business」の略で、法人顧客相手のビジネスになります。
また、「B to C」は、「Business to Customer」の略で、個人顧客相手のビジネスです。
「B to B」と「B to C」では、購買プロセスや意思決定の特徴が異なります。
以下に、「B to B」の特徴をまとめました。
- 【購買の意思決定者が複数】 : 法人では、担当者の意思だけではなく、上司の決裁や、購買部の許可が必要になったりするので、基本的に「意思決定者」が複数人になります
- 【購買プロセスが形式的で、時間がかかる】 : 法人では、購買するにも、稟議書を回したり、予算の承認を取ったり・・・など、プロセスが形式的で、その結果、購買決定に時間がかかります
- 【取引額と、リピート率】 : BtoB取引は、一般的に1回の取引額が大きく、1度取引すれば、以降、継続的な取引になりやすいといったメリットがあります
-
【衝動的・感情的な要素が、限りなく少ない】 : 個人が1生活者として、モノやサービスの購入をする際、「何となく」とか「習慣だから」といった「非論理的な要素」が実に多いです。
しかし、法人購買の場合、そのような「非論理的な要素」は、ほとんど介在せず、ほとんどが「論理性」と「経済合理性」で決定されます。
以上が、「B to B」の特徴になります。
当然、これらと「B to C」の特徴は異なっています。
なので、マーケティング戦略を考える際も、自社のターゲットによって、最適化する必要があります。
もし、あなたが「BtoB」のビジネスを行っている場合、下記のブログは非常に役に立つでしょう。
・ガイアックス:「INBOUND marketing blog」
こちらは、インバウンドマーケティングの世界では有名な、ガイアックスさんのマーケティングブログになります。
特に、「BtoB」に特化された内容となっているので、BtoBのビジネスをしている方は、ぜひチェックしておきましょう。
会社(企業)がWeb戦略を立案するさい、参考にすべき「インバウンドマーケティング事例」
当章では、誰でも知ってる「コカコーラ社」が取り組んでいる「インバウンド(コンテンツ)マーケティング事例」について、紹介していきます。
同社は、2011年10月に「コンテンツ2020」というマーケティング方針を打ち出しました。
この方針のポイントをピックアップすると、
- コカコーラは、「クリエイティブエクセレント(広告でのPR)」から「コンテンツエクセレント(コンテンツでのPR)」へ移行する。つまり、デザインや見せ方ではなく、内容で勝負するということ!
- 広がりやすく、情報の拡散をコントロール・支配できないような「コンテンツ」の作成をおこなう
グローバル広告戦略の責任者である、「Jonathan Mildenhall氏」は、下記のように述べています。
そうする事によって、1日24時間、週7日、常に消費者と繋がっている事が出来、新たな関係性を築く事が出来るのではないでしょうか」
また、同社は、5年ぶりに「コーポレートサイト」をリニューアルし、2013年6月25日に「Coca-Cola Journey」というタイトルで新しいスタートを切りました。
・サイト:コカコーラ公式サイト:「Coca-Cola Journey」
今回のサイトリニューアルは「コンテンツ2020」の要とも言われています。
その内容はウェブマガジン(コンテンツ)を中心としたもので、コカ・コーラの製品に関連するものだけじゃなく、世界的な環境・社会問題、注目トピックからライフスタイルに関するモノまで、幅広い対象とのコミュニケーションを試みています。
また、同社のソーシャルメディアや動画(Youtube)も活発で、数十万人といった「イイネ!」・「フォロワー」を抱えています。
以上、「コカコーラ社」が取り組んでいる「インバウンド(コンテンツ)マーケティング事例」でした。
プッシュ型の広告戦略(TVCMや新聞・雑誌広告など)でも、大きな効果を出し、広く知れ渡っている「コカ・コーラ社」が、同社のマーケティング施策を、大々的に「コンテンツ・マーケティング」へと切り替えていくといった事例は、
いかに、インバウンド式のコンテンツマーケティングが注目されているのかを、表していると言えるでしょう。